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■新年号の巻頭論文■~本や、雑誌や、パンフレットが溢れ出た。~

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 おはようございます。 今季一番の冷え込みの川崎の朝です。 今日は11月11日ダブルイレブン、 中国では独身の日で、 寂しい自分に何か買ってあげようとの 『独身者の悲哀』に仕掛けたアリババ。 4兆円規模にはやはり驚かされる。 休肝日明けの水曜日、今日も一日よろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ 小さなトランクを 二つ持って遅れてやってきた 副編集長カール・ポランニーは、 一言「メリークリスマス」と叫ぶや、 椅子がつぶれるような勢いで腰を下ろした。 カール・ポランニーは、 新年号の巻頭論文は、 一本目は張作霖、蒋介石、 その他中国の軍閥間の内戦について、 二本目が世界市場での農産物価格の下落について、 三本目がスターリンについて、 四本目はこれまでの経済学を逆さにしたような理論を 発表し始めたケインズという イギリスの経済学者について、 この四本でどうだろうと提案した。 「ここで彼は、もう一つのトランクを開けた。  同じように、本や、雑誌や、パンフレットが溢れ出た。  他の編集者たちは、  感心したというよりは困ったという顔をしていた。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 6章ポランニー一家と「社会の時代」の終焉)

■チャンフォリン、シャンカイシェー■~お経のように唱えていた~

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 おはようございます。 夜明け間際の川崎の朝、 日毎に朝が冷え込みます。 日中も20度を下回る気温、 時折コートが欲しくなるような気候です。 火曜日、今日も一日健やかにお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 副編集長のカール・ポランニーが 遅れていたために編集会議は 始まらなかったが、 遠くからかすかに歌うような声が聞こえ、 それがだんだん大きくなった、 とした。 その声は、 わけのわからない言葉を お経のように唱え、それは、 「フェンユイシャン(馮玉祥)、チャンフォリン(張作霖)、 シャンカイシェー(蒋介石)、マオツェタン(毛沢東)」 と聞こえた。 そして、 小さなトランクを二つ持った巨漢が 部屋に飛び込んできて、 一言「メリークリスマス」と叫ぶや、 椅子がつぶれるような勢いで腰を下ろした、 とする。 「そして再び、  「チャンフォリン、シャンカイシェー」と続けた。  持ってきたトランクの一つを開けると、  本や、雑誌や、書類や、手紙が溢れ出た。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 6章ポランニー一家と「社会の時代」の終焉)

■カール・ポランニーを待っている■~歌うような声~

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 おはようございます。 快晴川崎の朝、 冷え込みが増してきましたね。 日中も肌寒い一日になりそうです。 月曜日、今週もよろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 自らが書いた論文が、 自分の読んでいた雑誌の 編集者に認められたことは、 生涯最高のクリスマス・プレゼントだった、 とした。 そして、その編集会議は、 クリスマス当日の朝8時の 時間厳守とあったので その時間に行った、 と続ける。 白いひげの耳の遠い 創刊者兼編集長も定刻に来ていたが、 いつになっても会議は始まらず、 すでに9時近くになっていたので、 そっと聞いたところ、 「副編集長のカール・ポランニーを待っている」 とのことだった。 「口ぶりから察するに、  珍しいことではなさそうだった。  それから四〇分ほどしたとき、  全員の顔が一瞬なごんだことに気付いた。  遠くからかすかに歌うような声が聞こえ、  その声がだんだん大きくなった。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 6章ポランニー一家と「社会の時代」の終焉)

■生涯最高のクリスマス・プレゼント■~初めて活字になった論文~

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 おはようございます。 雲が空を覆う肌寒い川崎の朝です。 これから陽射しが増して行楽日和になりそうです。 アメリカ大統領選はバイデンが過半数を獲得したが トランプがごねている。 この状況をドラッカーは天国で、 be highly ridiculousって嘆いてるんだろうね。 昨日は嬉しくもたまたま出先の近くにあった アーティゾン美術館(旧ブリジストン美術館) で名画の数々を触れることができた。 音楽、演劇もそうだが絵画もやはり 一流の本物を見ることが一番ですね。 日曜日、良い休日をお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ 『ザ・オーストリアン・エコノミスト』 新年特別号の編集会議への招待状には、 編集長のサイン入りで、 ドラッカーの書いた論文を称賛した文書が したためられていた。 ドラッカーは、 それは「パナマ運河とその世界経済における役割」 と題する論文で、 一年ほど前に大学入試論文として書き、 数週間前ドイツの経済季刊誌に 掲載されたものだった、 と続ける。 そのほとんどがグラフと 表ばかりのものだったが、 ドラッカーとしては初めて活字になった論文だった。 「それが私の読んでいた雑誌の  編集者に認められたのだった。  私にとっては、  生涯最高のクリスマス・プレゼントだった。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 6章ポランニー一家と「社会の時代」の終焉)

■編集会議への招待状■~飛び抜けた光栄~

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 おはようございます。 夜明け間際の川崎の朝、 薄曇りですね。 今日は立冬、 一歩一歩秋から冬に移り変わってますね。 午後には雨の降る所もありそうです、 ご注意を。 土曜日、今日も健やかにお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ 18歳になったばかりのドラッカーが 初めての休暇を取って ウィーンに帰ったときに待ち受けていたのは、 経済週刊誌『ザ・オーストリアン・エコノミスト』 新年特別号の編集会議への招待状だった、 とした。 そして、当初はイギリスの 『ザ・エコノミスト』をモデルにしていたが、 やがて国際問題と科学技術を扱うようになり、 ヨーロッパ有数の総合雑誌になっていた、 と続ける。 その編集会議を傍聴できることは、 たとえこの招待が私よりも 父を意識したものであったにせよ、 飛び抜けた光栄であり、 さらにうれしかったことに、 その招待状には、 編集長のサイン入りで、 次のとおりしたためられていた。 「貴殿のパナマ運河についての論文を読みました。  大変優れたものと存じます」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 6章ポランニー一家と「社会の時代」の終焉)

■ポランニー一家と「社会の時代」の終焉■~

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 おはようございます。 雲が空を覆う肌寒い川崎の朝です。 アメリカ大統領選挙、 予想通りの混乱を見せている。 我々の世代が若いころ、 アメリカはベンチマークであり 憧れの国であったが、 この、目を伏せたくなるような光景、 どの様な決着となるのかな。 金曜日、今日も一日よろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ 今日から「6章 ポランニー一家と「社会の時代」の終焉」。 この章で、ドラッカーの処女作となる 『「経済人」の終わり―全体主義はなぜ生まれたか』 の刊行経緯が語られている。   18歳になったばかりのドラッカーは、 ハンブルクの商社で4か月働いた後、 1927年のクリスマスに 初めての休暇を取ってウィーンに帰った。 そしてそこに待ち受けていたのは、 経済週刊誌『ザ・オーストリアン・エコノミスト』 新年特別号の編集会議 への招待状だった、 と続ける。 「私は10代のかなり早い頃から  この雑誌を読んでいた。  経済官僚の父は、1907年の創刊以来  ずっと同誌を支援し、  相談に乗り、寄稿していた。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 6章 ポランニー一家と「社会の時代」の終焉)

■ドイツ軍が堂々と行進してきた日■~二人は静かに心中した。~

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 おはようございます。 夜明け間もない川崎の朝、 青空が広がっています。 アメリカ大統領選は、 予想通りの混乱、 泥沼状態に突入しようとしてる。 我々の感覚ではどうも理解できないが、 どうなるのだろう。 木曜日、今日も一日よろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 両親をナチスから逃すために、 住居を売り払い、 すぐにでもアパートに移るように手配した、 と伯爵に話した。 それに、どこからでも出国できるよう、 周りのスイス、チェコ、ハンガリー、 ユーゴの二年間有効のビザを取らせた、 と続ける。 伯爵はそれを聞き、 それ以上のことはできないだろう、 と喜んだが、ドラッカーが伯爵に、 ナチスが来たら、 どうするつもりなんですか、 どこへ行かれますかと聞いたところ、 伯爵は、どこにも行かない、 僕たちには子供もいないことだし、 と答えた。 そして、一年もしないうちに ナチスが本当にやって来たが、 彼らの持っていたリストが古く、 突撃隊を一年前に売った家に 派遣してくれたおかげで両親は助かったが、 彼らがリストの間違いに気付いた頃には、 一年前に取ったビザを手に チューリッヒ行きの汽車に乗っていた。 「トラウン伯爵とマリア・ミュラーも  ナチスの手を逃れた。  ドイツがオーストリアを併合し、  ドイツ軍が堂々とウィーンに行進してきた日、  二人は静かに心中した。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)