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■ 人と労働のマネジメント ■~世界は、大人だけで成りたっていない~

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自己実現の第一歩は、仕事を生産的なものにすることである。 ドラッカーは、そのためには、成果すなわち仕事からの アウトプットを中心に考えなければならないとした。 次にドラッカーは、働く人と労働のマネジメントについて触れる。 まづ、定番マグレガーのX理論とY理論をとりあげる。 X理論は、人を未熟で、怠惰で仕事を嫌い、強制しなければならず、 自ら責任を負うことができない存在。 一方のY理論は、人は欲求を待ち、仕事を通じて自己実現と責任を欲するとする。 ドラッカーは、人はいかに強くとも、性格や状況によってその強さは変化し、 誰かの牽引や後押しが必要になる時があるものである。 なので、Y理論だけで労働のマネジメントは解決しないとする。 「強い者さえ、命令と指揮を必要とする。 弱い者はなおのこと、責任という重荷に対して保護を必要とする。 世界は、大人だけから成っているのではない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第3章 仕事と人間)

■成果を中心に考える。■~インプットではなくアウトプットから~

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労働は、人にとって自己実現の重要な手段であり、 その第一歩は、仕事を生産的なものにすることにある。 ドラッカーは、そして、まづ考えなければならないことは、 ”仕事から生み出す成果”(アウトプット)を中心に 据えることであるとする。 仕事に使用する技術や知識は仕事の道具(インプット)にすぎない。 ここから生産性を考えてはならない。 成果を生み出すためには、どんな道具(ツール)を、どのタイミングで、 何のために使うかから考え始めなければならない。 これは、製造工場などの肉体労働に対するアプローチと同じである。 そして、さらにこのアプローチは既存の知識の習得と応用という仕事にも 適用できる。 ドラッカーは、その例として、エジソンの発明の活動をあげる。 まづ、製品を定義し、発明のプロセスを分解し、相互関係と順序を明らかにし、 プロセスのなかのキー・ポイントに管理手段を設定しその基準を定める。 というものである。 「発明家エジソンは、体系的な方法によって、発明という仕事の生産性をあげた。 彼は常に、欲する製品を定義することから始めた。 次に発明のプロセスをいくつかに分解し、相互関係と順序を明らかにした。 プロセスのなかのキー・ポイントごとに管理手段を設定した。 そして基準を定めた。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第3章 仕事と人間)

■働くことは自己実現の手段■~仕事を生産的なものにする。~

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ドラッカーは労働には、生理的、心理的、社会的、経済的、政治的の 5つの次元がありそのすべての問題を解決することは困難とした。 そして、労働つまり働くことは人にとって自己実現の重要な手段であり、 その自己実現の第一歩は、仕事を生産的なものにすることにあるとする。 そのためには、仕事を人の働きに即したものにしなければならない。 ドラッカーは、仕事を生産的なものにするには、分析、総合、管理、道具の 四っつの観点が必要と続ける。 ▽分析:仕事に必要な作業と手順と道具を知る。 ▽総合:作業を集めプロセスとして編成する。 ▽管理:仕事のプロセスのなかに、方向づけ、質と量、基準と例外についての管理手段を組み込む。 ▽道具:仕事の為の具体的な道具を明らかにする。 「科学的管理法すなわち仕事の客観的な組み立ては、  自己実現に矛盾しない。  別のものであっても、補い合うものである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第3章 仕事と人間)

■ 5つの次元のマネジメント ■~手だけを雇うことはできない。~

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仕事と労働(働くこと)とは根本的に異なり、 その労働は、生理的、心理的、社会的、経済的、政治的の 5つの次元から見なければならない。 この労働について、マルクスは、経済的次元を重視し、疎外も解決するとし、 エルンスト・メイヨーは、「手だけを雇うことはできない。人がついてくる。」 とし、心理的次元が重要とした。 しかし、ドラッカーはこれらの5つの次元はまったく別種のもので、 ひとつの次元のみでなく、全てを考慮しなければならないとする。 しかし、これらの5つの次元の取り扱いは難しく、 不可能とさえ思われるかもしれないとしたうえで、 次のとおり指摘する。 「不可能とさえ思われるかもしれない。  だがわれわれは、今日マネジメントしなければならない。  仕事の生産性をあげ、働く者に成果をあげさせるために、  何らかの解決策を、あるいは少なくとも調整策を  見出さなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第3章 仕事と人間)

■政治的な次元■~誰かが権力を行使する。~

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仕事と労働(働くこと)とは根本的に違う。 ドラッカーはその労働には次の五つの次元があるとする。 五つ目の次元●政治的な次元 人が働くということは、誰かが設計し指示した仕事を遂行するということである。 そして、その仕事は様々な職務で構成されており、人はその組織の枠組みの中で働く。 その中で、人は様々な立場を割り当てられる。 昇進とか降格などの人事的処遇もその一環として行われる。 割り当てる立場と、割り当てられる立場が存在する。 ここに、”権力”が発生し、その権力は働く一人ひとりに 様々な影響を与えることになる。 「集団内、特に組織内で働くことには、権力関係が伴う。 組織では、誰かが職務を設計し、組み立て、割り当てる。 労働は、順序に従って遂行される。 組織のなかで、人は昇進したりしなかったりする。 こうして誰かが権力を行使する。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第3章 仕事と人間)

■経済的な次元■~労働は生計の資であり、経済活動のための資本~

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仕事と労働(働くこと)とは根本的に違う。 ドラッカーはその労働には次の五つの次元があるとする。 ●経済的な次元 労働を経済面から見る。 労働は働く人の生活の拠り所であり、経済的な基盤である。 同時にそれは、組織の経済活動の基盤でもある。 組織が将来にわたって活動できるための資本である。 そしてその活動に必要な、働く人たちの労働の場を継続して作り出すことである。 つまり、組織の行う活動は、組織の将来を生み出す基盤であると共に、 働く人の明日の労働に必要な生活費を生み出すものである。 「労働は、経済活動が永続するための基盤をもたらし、  リスクに対して備え、明日の職場をつくりだし、  明日の労働に必要な生計の資を生み出す。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第3章 仕事と人間)

■労働は組織社会との絆■~人は社会的動物~

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仕事と労働(働くこと)とは根本的に違う。 ドラッカーはその労働には次の五つの次元があるとする。 No3●社会的な次元 組織は、社会にある不満や障害をその機能として解決し、満足を創造する。 組織は、その活動により何らかの形で社会に貢献している。 そして、人はその組織に働く。 組織社会である。 人は、家族や、町内会などの地域コミュニティを持っているが、 職場は社会との結びつきを可能とする。 組織がその活動により社会とつながっていることにより、 そこに働く人も社会とつながる。 人は職場を通じて社会に関わり、社会における自らの立ち位置を 決めていくことになるんですね。 「アリストテレスが、人は社会的動物であると言ったのは、 人は社会との絆のために働くことを必要とすると言ったのである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第3章 仕事と人間)