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■女優というより語り手■~聖霊の降臨を見る~

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 おはようございます。 薄い雲を通して、 明るい日が射す川崎の朝です。 朝の風は涼しく感じますが、 日中は猛暑、引き続き熱中症注意です。 月曜日、今週もよろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 マリア・ミュラーほど きれいな声は聞いたことがなく、 温かみのある音色のアルトで、 リズムと抑揚のわずかな変化で、 あらゆる役柄と心の動きを演じきった、 とした。 そして、マリアは、 舞台で詩を語ることのできる 最後の舞台女優で、 自然な会話のように 息を使うことができた、 と続ける。 ドラッカーは、 彼女はいわゆる女優ではなく、 語り手と言うべきであり、 舞台では動かず、 小さな身ぶりさえ ほとんどしなかったが、 舞台で話し始めるや、 聖霊の降臨を見、 聴衆の戦慄を感じ、 彼女の声以外何も 耳に入らなくなるのだった、 とする。 「彼女は、あらゆる劇と  あらゆる役を知っていた。  彼女は、この年に二回の  クリスマスと元日の午後、  それらのセリフと詩を語り、  あるいは朗読してくれた。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」

■マリアの朗読と暗誦■~あらゆる役柄と心の動きを演じきった~

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 おはようございます。 朝から蒸し暑い川崎です。 日中は猛暑、熱中症で多くの人が 命を落としています。 十分警戒して下さい。 日曜日、健やかな休日をお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ トラウン伯爵と 舞台女優マリア・ミュラーの二人は、 クリスマスと元日は昼食の前に、 ワインと花を手に 必ずドラッカー家に来ていた。 ドラッカーは、 昼食が終わる頃には、 話に花が咲いていたが、 ちょっと変わった会話ではあった、 とする。 そして、 二人は常に英語で話し、 マリアは完全なバイリンガルで、 伯爵はオーストリアの旧家の出だったが、 ドイツ語のほうに英語のアクセントが 入っていた、 と続ける。 昼食がすむと、 皆にせがまれたマリアが必ず 朗読と暗誦をしてくれたが、 これこそが、両親と私たち兄弟、 わが家のメイドと料理人、 近くの知り合いが 待ちに待っていたものだった、 とする。 「マリア・ミュラーほど  きれいな声は聞いたことがない。  木管楽器やバロック・オルガンのような  温かみのある音色のアルトだった。  リズムと抑揚のわずかな変化で、  あらゆる役柄と心の動きを演じきった。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)

■トラウン伯爵とマリア・ミュラーの物語■~クリスマスと元日はわが家に来た~

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 おはようございます。 東の空から眩しい日が射す 川崎の朝です。 今日も暑そうな一日です。 熱中症にはお気を付けください。 土曜日、今日も一日健やかにお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ 本日から、第5章。 ドラッカー家から、 葡萄畑と果樹園沿いの道を 20分ほど歩いた ウィーン郊外の村に住んでいた、 マックス・トラウン・トラウネック伯爵と ソプラノ歌手マリア・ミュラーとの交流のお話。 彼らがドラッカー家にやって来るのは、 クリスマスと元日の年二回だけで、 マリア・ミュラーはウィーン国立劇場の 幹部女優であり、プロデューサー兼演出家だった。 彼女は、たとえ自分が出演していなくとも、 公演日に劇場にいることは 自分の務めであるとし、 公演のない日は、 イースター前の金曜を除けば、 クリスマスと元日だけだった。 「二人は、  クリスマスと元日は  必ずわが家に来た。  昼食の前に、ワインと花を手にやって来た。  伯爵には年輩の執事、  マリアには年輩の着付け係が同行していた。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)

■劇的英雄と呼ぶに値する■~啓示的、魅惑的、感動的体系~

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 おはようございます。 曇り空、湿気はありますが 涼しい川崎の朝です。 これから気温上昇、 今日も猛暑にお気を付けください。 金曜日、一日健やかにお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 フロイトは、 何よりも彼自身に対して、 ウィーンの医学界が 精神分析を無視したかのごとき態度を 取り続ける必要が生じたのだった、 とした。 そして、世に伝えられているフロイトよりも、 現実のフロイトのほうがはるかに 興味ある存在であり、 はるかに偉大であって、 劇的英雄と呼ぶに値する存在である、 と続ける。 ドラッカーは、 デカルトの理性主義と 魂の暗夜との統合を維持するには、 あらゆる疑念を無視しつづけなければならなかった フロイトの精神分析というものは、 思いのほかに脆弱な 理論だったのかもしれない, とする。 「そして結局は  崩壊すべきものなのかもしれない。  しかしそれは、  一般に教えられているよりは、  はるかに啓示的、魅惑的、感動的な  体系なのではないかとも思うのである。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 4章フロイトの錯誤とその壮大な試み)

■理論と経験のバランス■~体系としての精神分析の崩壊~

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 おはようございます。 曇り空、涼しい川崎の朝です。 昼頃にはにわか雨の予報も出てますが、 気温は猛暑、お気を付けください。 木曜日、今日も一日健やかにお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 フロイト自身、 自らの思想的基盤が 身動きの取れない 狭隘なものであることは 承知していた、 とした。 そして、宗教的治療者や 睡眠療法士の同類と化す 怖れさえあった、 と続ける。 ドラッカーは、 フロイトにとっては、 理論と経験のバランスの維持が必須であり、 精神分析に対する次の問題提起の 一つにでも答えようとするならば、 体系としての精神分析が 崩壊しかねないことを知っていた、 とする。 ・精神分析の方法論 ・治療効果の定義 ・他の治療法との類似性 ・理論と治療の関係 「彼はそれらの疑念を  無視することによってのみ、  自らの体系を維持することができた。  したがって彼は、  何よりも彼自身に対して、  ウィーンの医学界が  精神分析を無視したかのごとき態度を  取り続ける必要が生じたのだった。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 4章フロイトの錯誤とその壮大な試み)

■時代が求めるもの■~合理ならざるがゆえ~

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 おはようございます。 明るい陽射しの川崎の朝です。 昨夜はエアコンなし、 今朝も湿気はあるものの 暑さは一息な感じです。 でも日中は気温上昇、 水分補給にはご注意を。 休肝日明けの水曜日、 健やかな一日をお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 精神分析が人類社会に 大きなインパクトを与えたのも 理性的な科学と非理性的な心の動きを 一つの理論にまとめ上げようとしたためで、 まさにそれこそが、 時代の求めるものだった、 とする。 そして、西洋社会に重大なインパクトを与えた マルクス、フロイト、ケインズの 三人の思想家いずれもが、 科学と魔術の統合、 論理と経験の体系化を目指し、 合理ならざるがゆえに我信ず の境地にあるものだったことは 偶然ではない、 と続ける。 ドラッカーは、 フロイト自身、 自らの思想的基盤が 身動きの取れない 狭隘なものであることは 承知していた、 とする。 「一歩譲れば、民族の体験としての神話、  易経、呪術、魔法、巫女という  ユングの東洋神秘主義、  あるいはかつての弟子  オットー・ライヒのエネルギー集積器、  さらには、もう一人の元弟子  アルフレッド・アドラーの  コンプレックスの算術へと堕しかねなかった。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 4章フロイトの錯誤とその壮大な試み)

■魂の暗夜を生きる夢想家■~精神分析を脆弱なものとした~

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 おはようございます。 東の空がほんのりと ピンク色に染まる川崎の朝です。 蒸し暑い朝ですが、 日中も暑い一日、 熱中症に警戒が必要です。 火曜日、健やかな一日をお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 フロイトは終生、 精神分析が科学であるとの 姿勢を崩さなかった、 とした。 そして、心の動きは、 理性的科学的に、 化学現象や電気現象、 あるいは物理法則のように 説明できるはずであるとした、 と続ける。 まさにフロイトの精神分析こそ、 理性的な科学と非理性的な心の動きを 一つの理論にまとめ上げようとする 壮大な試みだった。 ドラッカーは、 それは、啓蒙思想の子たる 理性主義者としてのフロイトと、 魂の暗夜を生きる夢想家にして 詩人としてのフロイトを 一身に体現しようとする試みだった、 とする。 「そしてまさに  この二つのものを一つに  まとめ上げてしまったことが、  精神分析を重要なものとし、  かつ脆弱なものとしていた。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 4章フロイトの錯誤とその壮大な試み)