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■紳士なる階層■~生じたものは完全な空白~

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 おはようございます。 秋晴れの青空にまぶしい日が射す、 川崎の朝です。 朝の気温が日毎に一桁に近づきますね。 明日から11月、秋も深まりますね。 土曜日、今日も一日健やかにお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 イギリス以外の ヨーロッパの国の多くでは、 複数の支配層が存在し、 支配権を巡ってせめぎ合っていた、 とした。 ところが、イギリスには ただ一つの支配階層があっただけで、 しかもそれは、名門の貴族、 田舎の地主、自由業の倅、 実業家の孫など誰でも入れる階層だった、 とドラッカーは続ける。 しかも、 その階層に属さず、 その階層のように行動することを 望まぬ者までが、 その紳士なる階層の支配権を 正統なものとして認めていたため、 この階層が大量に失われ、 辛うじて生き残った者が 自信を喪失したとき、 そこに生じたものは 完全な空白だった、 とする。 「その空白は、今日に至るも埋められていない。  ヨーロッパの他の国々では、  ビクトリア朝時代のイギリスに比べ、  はるかに階級意識が強かった。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)

■ヨーロッパで最も傷ついたイギリス■~支配階層が一つ~

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 おはようございます。 薄曇りの川崎の朝です。 夜明けが日毎に遅くなるに連れて 冷え込みが増します。 秋晴れが続きますね、 今日も晴れ間が多い一日になりそうです。 金曜日、今日も一日よろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 第一次大戦が始まったとき、 ウィンストン・チャーチルは すでに四〇代だったため、 幸い免疫力がついていた、 とした。 しかし彼の次の世代の、 アンソニー・イーデンや ハロルド・マクミランは、 癒えることのない傷を持って 戦場から帰還していた、 と続ける。 イギリスがヨーロッパで 最も傷ついたことは、 支配階層が 一つしかなかったことに起因しており、 フランスには、フランス革命前の アンシャン・レジーム(旧体制)の支配階層と、 ナポレオン以降の ブルジョア体制のそれとの亀裂があったため、 国が期待すべき単一のリーダー層というものが 存在しなかった、 とする。 「同じように、ドイツでも競い合う支配階層があった。  社会的な地位はあるが金のないユンカー、  社会的な地位はないが金のあるブルジョワ、  さらには自由業や学者が支配権を巡ってせめぎ合い、  いずれもその地位を得るには至っていなかった。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)

■イギリスの悲劇■~『若き者たちの遺せし言葉』~

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 おはようございます。 秋晴れの空が広がる川崎の朝です。 ヨーロッパでの新型コロナが 急激に拡大している。 日本における第一波の大きな要因が ヨーロッパ由来とされ、 その際の水際対策が甘かったといわれている。 今政府は国外との行き来を広げようとしているが、 ”ファクターX”と呼ばれるものだけで防げるものではない。 今回はよーく考えてほしい。 木曜日、今日も一日健やかにお過ごし下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 今日では、イギリスの凋落は、 ビクトリア朝ないしは エドワード朝初期に 始まったとされているが、 その最大の原因は、 指導層の多くが 第一次大戦で殺され、 生き残った者も 気力を失ったことにある、 とする。 そして、イギリスほど 若い将校が死んだ国はなく、 他の国には、 イギリスにおけるものほど 無鉄砲を要求する 紳士道なるものはなかった、 と続ける。 イギリスには、 教育ある若者がいなくなってしまい、 共に育った若者たちの ことごとくを失ったが、 この状況を表したものに、 20代の乙女の淋しさを表した、 ヴェラ・ブリテンの 『若き者たちの遺せし言葉』の 右に出るものはない、 とする。 「第一次大戦が始まったとき、  ウィンストン・チャーチルは  すでに四〇代だった。  そのため幸い免疫力がついていた。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)

■生き残ったことの罪悪感■~万事に気力を萎えさせた~

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 おはようございます。 薄曇りの川崎の朝です。 朝の冷え込みと共に、 空気も随分乾いてきました。 新型コロナがヨーロッパで 一波を超える勢いで拡大模様、 WHOは冬を迎える北半球は、 さらに厳重な注意が 必要と警告している。 暖気を取るための密閉状態と、 乾燥した空気が感染リスクを高めるためで、 日本もこの頃の感染下げ止まり状態の中、 秋の深まりにつれて、気の緩るみは禁物です。 休肝日明けの水曜日、 今日も一日よろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 自身が20代に入ったばかりで 大新聞の論説を務めていたのは、 自分が優秀だったのではなく、 単に前の年代がごっそりと 抜けていたからだった、 とした。 そして、ドラッカーが20代に入った頃には、 30代の人たちは周りに一人もおらず、 彼らは、フランダースやヴェルダン、 ロシアの各地やイゾーンツォの墓地に眠り、 生き残った者は、運のよかった者は体だけ、 多くの者は精神にも障害を負っていた、 と続ける。 特にこのことは、 ドイツにおいて著しく、 ワイマール共和国の最後の宰相 ハインリッヒ・ブリューニングが典型だった、 とする。 「せっかくの有能で立派な人物が、  生き残ったことの罪悪感によって、  万事に気力を萎えさせていた。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)

■次代を担うべき世代■~リーダーたるべき人~

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 おはようございます。 未明の川崎、雲が多い空模様です。 今日は一日曇り空、 夜遅くには俄雨のところもありそうです。 火曜日、今日も一日よろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 ヨーロッパの社会主義政党には、 ビジョンも、信条も、信念も、決意もない 昔ながらのスローガンをかかげただけの ナショナリズムと 権力欲の発現にすぎなかった、 とした そして、もし第一次大戦において、 ヨーロッパの次代を担うべき世代が 殺されなかったとしたならば、 この状況が多少は 違うものになったかどうかはわからない、 と続ける。 しかし今日、第一次大戦が、 いかに多くの次代の リーダーたるべき人を殺したかを 実感している者があまりに少なく、 伯爵の話を聞いていた私でさえ、 これを実感として知ったのは 数年後のことだった、 とする。 「当時私は二〇代に入ったばかりで  大新聞の論説を務めていた。  私が優秀だったのではなく、  単に私の前の年代が  ごっそり抜けていたからだった。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)

■ビジョン、信条、信念、決意なく■~権力欲の発現~

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 おはようございます。 青空を薄い雲が覆う川崎の朝です。 窓からは肌寒い空気が入ってきます。 日中は上着が要らない気温になりそうです。 寒暖差が段々と大きくなりますので、 体調に十分注意が必要ですね。 月曜日、今週もよろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 1914年以降は、 ヨーロッパの一流の頭脳のうち、 社会主義と取り組んだ者は、 ムッソリーニによって 投獄されていた、 アントニオ・グラムシ一人しかいない、 とした。 たしかにヨーロッパの 社会主義政党は、 二つの大戦の間に選挙で 得票を伸ばしたが、 それだけのことで、 世の中の何事も変えなかった、 と続ける。 なぜなら彼らには、 ビジョンも、信条も、信念も、 決意もなくなっていたからで、 ヴェルサイユ条約から 第二次大戦の間の20年間、 多くの国において、 第一次大戦前からの社会主義者が 政権を握ったにも関わらず、 社会主義などというものはまったく 存在していないと同然だった、 とする。 「彼らは、トラウン伯爵の言ったように、  事務屋にすぎなかった。  そのうえ、第二次大戦後の社会主義の復活さえ、  本質的には社会主義などではなく、  昔ながらのスローガンをかかげただけの  ナショナリズムと、  権力欲の発現にすぎなかった。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)

■知的不毛の真因■~無垢の魂アントニオ・グラム~

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おはようございます。 青空が広がる川崎の朝です。 まぶしい日が射し始めていますが、 朝は随分と冷えました。 やっと秋らしい天候が続きそうですね。 日曜日、良い休日をお楽しみください。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピータ.ドラッカー∬ ドラッカーは、 アメリカにおける マイケル・ハリントンに 代表されるような、 社会主義の夢から 覚めることのできない人たちは、 社会主義の現状を 信条からの逸脱と嘆き、 初心に帰るべきことを 繰り返し訴えている、 とした。 しかし、その訴えは今やあまりに空しく、 1914年以降の社会主義の 知的な不毛の真因がここにある、 と続ける。 ドラッカーは、 あのとき以前は、 ヨーロッパでも抜きん出た頭脳が、 社会主義の約束と問題に取り組んでいたが、 1914年以降は、 ヨーロッパの一流の頭脳のうち、 社会主義と取り組んだ者は一人しかいない、 とする。 「ムッソリーニによって投獄され、  現実から遠ざけられていたために  無垢の魂を保持しえた  アントニオ・グラムシしかいない。」 ~P.F.ドラッカー「ドラッカーわが軌跡」 (Ⅰ 失われた世界 5章トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラーの物語)