■”リスクの最小化”は誤り■~進歩とは、リスクを負う能力の増大~




ドラッカーは、経営科学のもう一つの鍵は、”リスク”にあるとする。

まず、”リスクをなくそう”とか”最小にしよう”などの試みは誤りであるとする。
そこには、リスクは”非合理的で避けるべきもの”とする考えがあるからだ。

この考えからは、リスクを取らない、リスクのない道を探すといったことしか
導き出されない。
そこにあるのは、”無為のリスク”、”硬直化のリスク”という最大のリスクである。
なにもできなくなる。

必要なことは、正しい種類のリスクを冒せるようにすること。
どんなリスクがあり、リスクを冒したとき何が起こるかを明らかにすることである。


また、よく言われる”リスクの最小化”という言葉には、リスクを冒したり、
リスクを作り出すこと、つまり企業という存在そのものに対する非難の響きがある。

これは、経済活動を、責任を伴う自由裁量の世界として見ておらず、
間違っているというより、最悪というべきであるとする。



「企業活動からリスクをなくそうとしても無駄である。

現在の資源を未来の期待に投入することには、必然的にリスクが伴う。

まさに経済的な進歩とは、リスクを負う能力の増大であると定義できる。」



~P.F.ドラッカー「マネジメント」
(6章 マネジメントの技能 30 経営科学)






   

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