■「社会的責任」の意味が変わった■~いかなる貢献ができるか。~
ドラッカーは、マネジメントの役割として、 組織に関する3つの社会的責任があるとした。 かつて、企業の社会的責任についての議論は、三つの分野で行われていた。 ひとつは、経営者個人の行動と、組織としての行動とのギャップに関わること。 たとえば、経営者が報酬との引き換えに、労働者に過酷な肉体労働に就かせることや、 税務職員や警察官が法律の名のもとに、個人の自由や財産を拘束することなどである。 二つ目は、働く者の生活や、家庭や将来に対する経営者の責任に関わること。 そして3点目は、地域社会への貢献である。 美術館、博物館、オペラ、オーケストラの後援、学校、教会の役員としての奉仕、 慈善活動などへの寄付だった。 しかしドラッカーは「企業の社会的責任」の意味が変わったとする。 それまでの、個人や地域や自らの職場に関する責任だけではなく、 社会全体や社会を取り巻く環境問題などの解決について、いかに貢献するか が重要なテーマになったとする。 「社会の問題に取り組み解決するために、 企業は何を行い、何を行うべきか。 人種差別をはじめとする社会問題や環境問題の解決について、 行いうる貢献に重点が置かれている。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第4章 社会的責任 15 マネジメントと社会)