∬ちょこっと、P.F.ドラッカー∬ ■何をなすべきか■
企業にとっての本業は「今日の事業の業績をあげる。」、「潜在的な機会を発見し実現する。」、「明日のために新しい事業を開拓する。」の三っつで、これら三っつの仕事は、同じ組織・資源・知識・資金を用いて同時に、しかも”今日”行われなければならない。 今日の問題は時間をかけず効果的に解決し、明日の仕事にむけて資源を集中すべきで、そのためには企業の現実、成果を上げるための能力、利用しうる資源についての理解が必要となる。 その理解のためにドラッカーはいくつかの仮説を立てているが、いずれも当たり前と思われる内容である。しかし、その仮説から実際の行動のための結論を出せる者は極めて少ないと指摘している。 ●仮説1:成果や資源は、企業の内部にはない。いずれも企業の外部にある。 ⇒成果は、企業が行った活動結果を市場が受け入れてはじめて”成果”となるが、そこにいたるまでの企業内部のプロセスはコストのみを発生させるコストセンターでしかない。 成果を決定するのは企業の外部の人間である。 また、企業にとって独自で唯一の資源である知識についても、「だれかにできたことは、他のだれかが行う」こととなり普遍的かつ社会的資源となる。 つまり、企業活動とは外部にある資源を、外部にある経済的成果に転換するプロセスと定義できる。 ●仮説2:成果は、問題の解決ではなく、機会の開拓によって得られる。 ⇒問題の解決は機会獲得の障害要因を取り除くのみで、機会の開拓によってのみ成果は得ることができる。 ●仮説3:成果をあげるには、資源を、問題ではなく、機会に投じなければならない。 ⇒よく言われる「利益の最大化」との表現は曖昧で意味がなく、「機会の最大化」が正確で意味ある定義とし、単なる効率ではなく成果に結びつく機会こそが本質的に重要とする。 つまり、いかになすべき仕事を見つけ、いかに資源と活動を集中するかである。 ■仮説4:成果は、単なる有能さではなく、市場におけるリーダシップによってもたらされる。 ⇒「利益とは意味ある分野において、独自の貢献、あるいは少なくとも差別化された貢献を行うことによって得られる報酬である。そして、何が意味ある分野であるかは、市場と顧客が決定する。すなわち利益は、市場が価値あるものとし、進んで代価を支払うものを供給することによってのみ得ることができる。」長文引