■正当な権力の行使ではない。■~倫理ではなく、個人の貢献の問題~
ドラッカーはマネジメントの責任と倫理について、彼らには、 プロフェッショナルの倫理、つまり責任の倫理を要求されるとする。 ギリシャの名医ヒポクラテスは、「知りながら害をなすな」との 誓いをたてた。 患者が信頼を寄せて自らの命を託す医者は、患者の命に値する信頼感が 得らなければ、命を守るプロではないとの決意である。 一方企業活動は、社会や個人の抱える問題を解決するプロフェッショナル である。 社会や個人は自らそれらの問題を解決する術を持たない。 例えば病気になれば病院に頼り、出かけるときには電車を使う、 電気も水道もガスも自ら作り出すことはできない。 一人ひとりの個人は何事についてもプロではないため、 プロフェッショナルとしての企業が誠意をもって その務めを果してくれないとすると個人は途方に暮れるのだ。 しかし、いかにプロフェショナルとしても、顧客に対して 絶対に良い結果を出すとの約束はできない。 行うべきことは、プロフェショナルとしての最善を尽くすということと、 顧客に害を及ぼす可能性があることを知った上での”悪意の行為”はしない との約束である。 『知りながら害をなすな』は、社会に許されて存在する企業として、 究極的な社会的責任ですね。 「最善を尽くすことしかできない。 しかし、知りながら害をなすことはしないとの約束は しなければならない。 顧客となるものが、プロたるものは知りながら害をなすことはないと 信じられなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第4章 社会的責任 19 プロフェッショナルの倫理~知りながら害をなすな)