■自らが社会に与える影響への責任■~高い代価を払わせる。~
組織の社会的責任は、自らの活動から生まれるものと 社会の問題として生ずるもの、この二つの領域において生ずる。 そして、自らが社会に与える影響は、故意であろうとなかろうと、 組織にその責任がある。これが原則であるとする。 組織は、その影響を取り除き、問題を解決するために 責任ある行動をとらなければならない。 そうしなければ、社会からの報復を受けることになる。 ドラッカーは、一つの例として1940~50年代の アメリカの自動車会社フォードについて触れる。 フォードは車の安全性向上のためにシートベルトつきの車を売り出した。 しかし、販売不振のため、まもなく製造を中止した。 それから15年後、社会に安全意識が広がると、自動車メーカーは、 ”安全車という考えまで捨てた死の商人”との厳しい批判を受けるようになった。 その結果、市民保護を超えた、メーカーバッシングともいえる法律が多く作られることとなった。 責任放棄に対して、高い代価を支払わなければならない形となった。 「組織が社会に与える影響には、いかなる疑いの余地もなく、 その組織のマネジメントに責任がある。 世論が反対していないというだけでは言いわけにはならない。 遅かれ早かれ、社会は、そのような影響を社会の秩序に対する攻撃と見なす。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第4章 社会的責任 16 社会的影響と社会の問題)