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■意見の対立を促す。■~全会一致では決定しない。~

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意思決定の6つのポイント、2点目 ◆意見の対立を促す。 ドラッカーは、まず、問題を明確にすることが大事とした。 次に意思決定には意見の対立が必須条件であり、 対立意見のないときには決定を行ってはいけないとする。 その理由をドラッカーは、次のとおり説明する。  △様々な意見を戦わせることによって、不完全であったり、  間違ったりしている意見を浮き出させることができる。  そのことによって、そのような意見にだまされることを防げる。  △様々な意見を出させることにより、様々なオプション案を  発見できることとなる。  選択した意見案を実際に実行した段階で、それが間違いや  不完全であることが明らかになった場合なすすべなく、途方に暮れる。  その際に、次善策として実行できる。  △自分自身や他の人の想像力を引き出せる。  様々な対立意見の中から、自分の発想や、方向性と異なることを知ることにより、  刺激を受け、新しいアイデアを出すことも可能となる。 「マネジメントの行う意思決定は、  全会一致によってなされるようなものではない。  対立する見解が衝突し、異なる見解が対話し、  いくつかの判断のなかから選択が行われて初めて行うことができる。  したがって、意思決定における第一の原則は、  意見の対立を見ないときには決定を行わないことである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第6章 マネジメントの技能  27 意思決定)     

■問題の認識の違いが、答えの違い■~異なる見解を奨励~

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ドラッカーは、意思決定を行う際のポイントを6点示す。 その1点目は ◆問題を明確にする。 ドラッカーは、まず、問題を明確にすることが大事とする。 問題に対して、人はそれぞれ違う答えを持つ。 しかしその違いの多くは、何についての意思決定かについての認識の違いから生ずる。 問題の認識の違いが、答えの違いをもたらすのだ。 貯金を増やす対策は収入の増加ではなく、支出の改善かもしれない。 収入をテーマにすると貯金は永遠に増えないかもしれない。 なので、どのような認識の仕方があるかを明らかにすることが その第一歩となる。 そのために、人それぞれの、多様な見解を引き出すことから スタートしなければならない。 そして同時に、見解を出す者に対しては、その妥当性について 検証し、説明する責任を問わなければならない。 「問題の認識の違いが、答えの違いをもたらす。  したがって、どのような認識の仕方があるかを  明らかにすることが、効果的な意思決定の第一歩となる。  まちがった問題に対する正しい答えほど、  実りがないだけでなく害を与えるものはない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第6章 マネジメントの技能  27 意思決定)     

■意思決定は判断力に対する挑戦■~知的な遊戯ではない。~

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ドラッカーは、日本流の意思決定は、 日本以外でも十分に通用する効果的な意思決定の 基本であるとした。 ドラッカーは、意思決定のプロセスを次のとおり説明する。 ◆問題を明確にする ◆意見の対立を促す ◆意見の相違を重視する ◆行動すべきか否か ◆意思決定の実行 ◆フィードバックの仕組み 明日以降説明を続ける。 「意思決定は機械的な仕事ではない。  リスクを伴う仕事である。  判断力に対する挑戦である。  大事なのは、問題への答えではなく、問題についての理解である。  意思決定とは知的な遊戯ではない。  効果間な行動をもたらすために、ビジョン、  エネルギー、資源を総動員することである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第6章 マネジメントの技能  27 意思決定)     

■意思決定の力点をどこに置くか■~問題を明らかにすること~

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ドラッカーは、日本流の意思決定は独特のものであるが、 その基本は、日本以外でも十分に通用する効果的な意思決定の 基本であるとする。 日本流の意思決定のエッセンスは次の五つある。  ①何についての意思決定かを決めることに重点を置く。  答えではなく問題を明らかにすることに重点を置く。  ②反対意見を出やすくする。コンセンサスを得るまでの間、答えについての論議は行わない。  あらゆる見方とアプローチを検討の対象にする。  ③当然の解決策よりも複数の解決案を問題にする。  ④いかなる地位の誰が決定すべきかを問題にする。  ⑤決定後の関係者への売り込みを不要にする。   意思決定のプロセスのなかに実施の方策を祖み込む。 「意思決定で重要なことは問題を明らかにすることである。  そもそも意思決定は必要か、そもそも何についての意思決定かを  明らかにすることが重要とされる。  この段階でのコンセンサスの形成に努力を惜しまない。  この段階にこそ、意思決定の核心があるとする。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第6章 マネジメントの技能  27 意思決定)     

■マネジメントとは、一つの仕事■~特有の技能が必要~

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本日から「第6章 マネジメントの技能」に入る。 ドラッカーはこの章で、マネジメントが理解すべき基礎知識について述べる。 マネジメントとは、他の仕事と同じで、一つの仕事である。 なので、マネジメントには、他の仕事と同じように マネジメント特有の技能が必要となる。 しかし、いかに優れた者であっても、それらの技能すべてを 完全に習得することはできない。 だが、少なくともマネジメントに必要な基本的な技能についての 基礎知識を持たなければならない。 「マネジメントとは、一つの仕事である。  したがって、それには特有の技能が必要とされる。  しかしマネジャーたるものは、それらの技能が何であり、  いかに役立ち、何を要求するかを理解しなければならない。  特に基本的な技能についての基礎知識を持たなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第6章 マネジメントの技能)     

■高い基準を設定しない者■~有害なマネジャー~

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マネジャーに不適格な真摯さの欠如、その5点目 ◆自らの仕事に高い基準を設定しないこと ドラッカーは、自らの仕事に高い基準を設定しない者も マネジャーに任命してはならないとする。 部下やメンバーが、組織全体として目標に向かい 成果を生み出す積極的な活動を行うようにすることは マネジャーの重要な責任である。 その活動は、部下やメンバーにとって困難なチャレンジである。 そのためには、マネジャー自身がそれを超えるような姿勢を示す 必要がある。 マネジャーの基準が低ければ、部下はそれを下回った基準しか持たない。 そうしないと、部下はマネジャーをなめる。 マネジメントや仕事そのものをなめることとなる。 ”組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。 組織の精神を損ない、業績を低下させる。” マネジャーは、単なる仲良しクラブの部長や、 部下に好かれればいい上司などではなく、組織全体を プロフェショナルとして作り上げていくリーダでなければならない。 「自らの仕事に高い基準を設定しない者も  マネジャーに任命してはならない。  そのようなものをマネジャーにすることは、  やがてマネジメントと仕事に対するあなどりを生む。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  26 組織の精神)     

■部下に脅威を感じる者■~人間として弱い。~

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真摯さの定義は難しい。 しかし、マネジャーに任命してはならない 真摯さの欠如は定義できる。 4点目 ◆部下に脅威を感じること アンドリュー・カーネギーは墓碑銘に 『おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る』 と刻んだ。 カーネギーは各分野で優秀な部下の強みを見出して 仕事に適用させ事業を成功させた。 成果を上げるためには、そこに働く全ての強みを 発揮させることが必要。 これは、組織の成果に責任を持つマネジャーの務めである。 能力のある部下が、そのマネジャー自らの権限を侵すことを 考慮するとするとそれは”利己”でしかない。 組織の成果から見ると、障害要因である。 そのようなマネジャーを任命しない、 その責任と義務が人事権を有するマネジャーにはある。 「部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。  そのような者は人間として弱い。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  26 組織の精神)     

■頭のよさを重視する者■~未熟さはなおらない。~

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マネジャーに欠かせない真摯さ、その3点目 ◆真摯さよりも、頭のよさを重視すること 仕事が早い、頭がいい、親切でやさしい、いい人だ、新しい技術に詳しい、、、、 このような者は多く見かける。 誰もがこの様な資質を持っているに越したことはない。 しかし、それらの資質を持っていようが、”真摯さ”がなければ意味がない。 それらの資質を、自らの成果と組織全体の成果につなげるには、 真摯さが前提となる。 頭がいいだけでは、組織にとってひとかどにはならない。 組織人として未熟で、その未熟さは持って生まれたもの。 一生治ることはない。 自分自身を振り返ってみよう。 頭が良いんじゃないかな、、って思っている人は、 一度立ち止まって自身にとっての”Integrity”の評価をしてみよう。 「真摯さよりも、頭のよさを重視する者を  マネジャーに任命してはならない。  そのような者は人として未熟であって、  しかもその未熟さは通常なおらない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  26 組織の精神)     

■組織全体を堕落させる者■~仕事よりも人を重視すること~(

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マネジャーに不適格な真摯さの欠如、その2点目 ◆何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つこと 不確定で多様で困難な制約条件のもとで、マネジャーは 意思決定を行わなければならない。 その際、マネジャーは様々な英知を結集する必要があり、 そのいずれかの選択に当たっては、感情とか好き嫌いとか、 実行容易さではなく、なにが正しく目的に合致するかを 一義としなければならない。 「何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者を  マネジャーに任命してはならない。  仕事よりも人を重視することは、一種の堕落であり、  やがては組織全体を堕落させる。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  26 組織の精神)     

■組織の精神を低下させる者■~人は、強みに基づく~

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真摯さの定義は難しい。 しかし、マネジャーに任命してはならない 真摯さの欠如は定義できる。 1点目 ◆強みよりも弱みに目を向けること 人は、強みに基づいてこそ仕事ができる。 弱みの上に何かを築くことはできない。 なので、人事は人の強みを発揮させるものでなければならない。 重要なことは、強みを発揮させ、弱みを意昧のないものにさせることである。 ドラッカーは、強みよりも弱みに目を向ける者をマネジャーに任命してはならないとする。 「強みよりも弱みに目を向ける者を  マネジャーに任命してはならない。  できないことに気づいても、  できることに目のいかない者は、  やがて組織の精神を低下させる。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  26 組織の精神)     

■マネジャーとして失格■~人間を破壊し、業績を低下させる。~

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ドラッカーは、真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえるとした。 しかし、真摯さの定義は難しい。 だが、マネジャーにしてはならない真摯さの欠如は定義できるとする。 ◆強みよりも弱みに目を向けること ◆何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つこと ◆真摯さよりも、頭のよさを重視すること ◆部下に脅威を感じること ◆自らの仕事に高い基準を設定しないこと 「いかに知識があり、聡明であって上手に仕事をこなしても、  真摯さに欠けていては組織を破壊する。  組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。  組織の精神を損ない、業績を低下させる。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  26 組織の精神)     

■真摯さの欠如は許さない。■~ごまかしがきかないもの。~

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ドラッカーは、組織には、高度な基準による目標管理が必要であるとした。 そして、組織は真摯さを絶対視して、初めてまともな組織だと続ける。 まず、マネジメント職の任命に象徴的に表れるとする。 マネジメント職には絶対的に真摯さが必要である。 真摯さのないマネジメント職はその職を全うできない。 仕事のまづさは時には許せるが、真摯さのないことは許されない。 この真摯さが身につけていないことは、ごまかしがきかない。 部下は、上司が真摯であるかどうかは2,3週間で分かるとする。 人事権限者は、真摯さのないものを、マネジメント職につけては いけないのである。 「無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。  だが、真摯さの欠如は許さない。  決して許さない。  彼らはそのような者をマネジャーに選ぶことを許さない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  26 組織の精神)     

■人は、優れているほど間違いをおかす。■~百発百中は曲芸~

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ドラッカーは、組織には、成果中心の精神が必要であるとした。 そして、そのためには目標管理が必要である。 目標管理には高度な基準が必要である。 成果をあげるための基準である。 そしてそのためには、 成果とは何かを理解しなければならない。 ドラッカーは、成果とは百発百中のことではなく、 長期的に生み出していくものでなければならないとする。 長期的に成果をあげるためには、多様で、多くのチャレンジが必要である。 そして、そのようなチャレンジには、まちがいや失敗も当然として起こる。 なので、間違はしない、失敗もしないと言う者は、チャレンジをしていないことと同意となる。 ドラッカーは、間違いも、失敗もしないと言う者は、 ”見せかけか、無難なこと、下らないことにしか手をつけない者である。” と指摘する。 「人は、優れているほど多くのまちがいをおかす。 優れているほど新しいことを試みる。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー 26 組織の精神)     

■組織の良否は、成果中心の精神■~真摯さこそ唯一絶対の条件~

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ドラッカーは、組織の良否は、成果中心の精神が あるか否かによって決まるとした。 そして、そのための要件を次のとおり指摘する。 ◆組織の焦点は、成果に合わせなければならない。 そして、問題ではなく機会に合わせなければならない。 ◆組織配属、昇給、昇進、解雇などの人事に関わる意思決定は、 組織の信条と価値観に沿って行わなければならない。 そして、この人事に関わる意思決定こそ真の管理手段であるとして、 次のとおり言明する。 「人事に関わる決定は、真摯さこそ唯一絶対の条件であり、  すでに身につけていなければならない資質であることを  明らかにするものでなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー 26 組織の精神)     

■天才をあてにするな■~凡人から強みを引き出す。~

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続いてドラッカーは、組織の良否について指摘する。 組織の目的は、一般の人に秀でた仕事を行わせることにある。 秀でた仕事のできる人、つまり”天才”はほとんど存在することはなく、 組織の仕事を、その存在に頼ることは無謀としか言えない。 では、組織はどうあるべきなのか? ドラッカーは、組織の良否は次のことができるかどうかで決まるとする。 ◆一般の能力しか持たない者から強みを引き出し、 他の者の助けとすることができるか否か。 ◆人の弱みを無意味にすることができるか否か。 「組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある。  天才に頼ることはできない。  天才はまれである。あてにできない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  26 組織の精神)     

■知識専門家としての中間管理職■~意思決定を行う者~

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ドラッカーは、新種の中間管理職について、 彼らは知識専門家であるとする。 例えば製品、製造、工程、税務、市場調査、マーケティング、 広告の専門家である。 それまでのミドルマネジャーは命令するだけの人だった。 つまり、下に向かって、すなわち自分に報告する人間に対して 「権限」を持つものだった。 一方の新種のミドルは知識を供給する人である。 上や横に向かって、すなわち自分が命令できない人間に対して 「責任」を持つものである。 この専門家の決定と行動が、組織の方向と能力に直接影響を与える。 ラインのマネジャーではなく、スタッフでもない。 彼らの仕事は助言や教示ではなく、現業の仕事をする。 地位、報酬、職務はトップマネジメントでなくとも、 組織に与える影響に関しては、トップマネジメントと同じ責任を負う。 ドラッカーは、ミドルマネジャーとしての知識専門家を 効果的な存在とし、成果をあげさせることは、マネジメントの 中心課題であるとする。 「知識専門家とは、知識を仕事に適用し、  かつ知識を基礎として、組織全体の能力、  成果、方向に影響を与える    意思決定を行う者である。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー 25 ミドルマネジメント)     

■過剰は成果と意欲に害を与える。■~中間管理職の脂肪分~

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続いてドラッカーは、中間管理職の存在について触れる。 ミドルマネジメント、つまり中間管理職は急速に増加してきたが、 この”急速”というスピード感は行きすぎであり、 弊害として混乱と無駄を生み出すとする。 これまで行われてきた中間管理職の仕事にふさわしい人員数が過剰になり、 その仕事にふさわしい量と質を無意味にすることとなったのだ。 優秀な中間管理職は仕事を必要とする。 この問題について、ドラッカーは、何よりもまず、 ”ミドルマネジメントから脂肪分を除去しなければならない。” とする。 そのためには、 ◆本当にしなければならないことは何かを検討し、 ◆必要のないこと、削減したり廃止すべきことは何かを考えなければならない。 とする。 マネジメントはこの中間管理職の仕事についての方向づけを行い、 管理し、マネジメントする必要がある。 「急速な増加は行きすぎを伴う。  もたらされるものは混乱と無駄である。  ミドルマネジメントについても、  過剰となることほど害の大きなものはない。  成果を越えた害を与える。  成果と意欲に害を与える。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  25 ミドルマネジメント)     

■目標は組織への貢献による。■~規定することは、一人ひとりの責任~

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ドラッカーは、あらゆるマネジャーに、明確な目標が必要だとした。 そして、さらに必要な要件 ◆短期的的視点と長期的視点を持つ。 今日の仕事に関する目標と明日の仕事に関すること ◆有形の経済的目標のほかに無形の目標を持つ。  ・マネジャーの組織と育成に関する  ・部下の仕事ぶりと態度に関すること  ・社会に対する責任に関すること ◆一人ひとりが責任を持つこと 一人ひとりが、自分自身の目標を設定すること及び 自らの属する組織の目標の設定に参画すること また、トップマネジメントはこれらの目標間のバランスを図り、 それらの目標を否認する権限を持たなければならないとする。 ドラッカーは、明確な目標に関して、一人ひとりに責任と共に、 上位マネジメントには全体最適を図る責任があるとする。  「目標は組織への貢献によって規定しなければならない。  プロジェクト・エンジニアの目標は、技術部門に対して  果たすべき貢献によって規定される。  事業部長の目標は、組織全体に対して果たすべき貢献によって  規定される。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  24 自己管理による目標管理)     

■目標がなければ混乱する。■~貢献を明らかに~

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次にドラッカーは、マネジャーの目標管理の必要性について指摘する。 まず、社長、部長、課長、PM、PL等あらゆるマネジャーには、明確な目標が必要だとする。 そして、目標は次の要件を満たす必要がある。 ◆自らが管理する部門があげるべき成果は何かということを明らかにする。 ◆他部門の目標達成の助けとなるために、自部門が果たすべき貢献は何かを明らかにする。 ◆自部門の目標達成のために、他部門に期待する貢献は何かを明らかにする。 ◆目標には、はじめからチームとしての成果を組み込んでおく。 ◆そして目標は、常に組織全体の目標から引き出したものでなければならない。 PMの目標は、プロジェクトの目標だけではなく、会社全体の目標と 事業本部全体の目標に基づいた目標でなければならないのだ。 「マネジャーたるものは、上は社長から下は職長や事務主任にいたるまで、  明確な目標を必要とする。 目標がなければ混乱する。  目標は自らの率いる部門があげるべき成果を明らかにしなければならない。  他部門の目標達成の助けとなるべき貢献を明らかにしなければならない。  他部門に期待できる貢献を明らかにしなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  24 自己管理による目標管理)     

■報酬システムは強力な信号■~トップマネジメントの価値観を示す。~(

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ドラッカーは、報酬の仕組みは、人々を誤った目標に導く 可能性があるとした。 しかし組織内の人間にとって、報酬や報酬システムほど 強力な信号はない。 報酬は、金銭的な意味を持つだけではなく、トップマネジメントが どのような価値観を持ち、働く人自身がどのような位置づけにあり、 どれ程認められているかを示すこととなる。 この問題の解決は難しい。 ドラッカーは、できることは、まちがった行動を褒めたり、 まちがった成果を強調したり、共通の利益に反する まちがった方向へ導くことのないよう監視することぐらいであるとする。 「報酬は、金銭的な意味合いがあるだけでなく、  トップマネジメントの価値観を教える。  自分にいかなる価値があるかを教える。  いかなる位置づけにあるか、  いかに認められているかを教える。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  24 自己管理による目標管理)     

■報酬の意味づけ■~成果のみならず、人間に対する評価を表す。~

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京大山中教授が前評判どうり、iPS細胞研究でノーベル医学・生理学賞を受賞した。 混沌の日本に久々の朗報だ。 記者会見で、教授は”ヴィジョン&ハード・ワーク”という言葉を示した。 ”ビジョンをはっきり持ち、それに向かってハードワークすることが 研究者の成功の条件”との信念である。 教授がヴィジョンを示し、スタッフのハード・ワークがそのヴィジョンを 形にしたのだ。 医学研究のミッションである、実用医療への適応に向けた”VW”は これからも続くであろう。 「人生はやるか、やらないか 迷った時は困難な道を」 今回の快挙を可能にしたこの決意に敬意をこめた拍手を。 ------------------ 組織のなかで働く人々が果たすべき貢献が、 共通の目標に向けられない四つの要因。 4点目 ◆報酬の意味づけ 報酬は、組織にとってはコストであり、個人にとっては収入である。 そして、それは組織や社会の中での一人ひとりの位置づけを表し、 高報酬は、組織や社会の中でのステータスを意味することとなる。 また報酬は、組織の中で個人が生み出した成果だけでなく、 個人を人間の総体として評価した結果をも表す。 ドラッカーは、報酬について公式を求めても無駄であるとし、 いかなる報酬も、さまざまな条件のトレードオフを伴う、 妥協にすぎないとする。 「いかなる報酬にしても、報酬システムが持っている  さまざまな意味合いの妥協にすぎない。  最高のシステムであっても、一方において組織を強化し、  他方において弱体化する。  一方で正しく方向づけし、他方でまちがって方向づけする。  正しい行動だけでなく、まちがった行動を奨励する。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  24 自己管理による目標管理)     

■階層による関心の違い■~共通の言語と理解が前提となる。~

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組織のなかで働く人々が果たすべき貢献が、 共通の目標に向けられない四つの要因。 3点目 ◆階層の分離 階層によって仕事と関心に違いがあることも、 働く人々を誤った方向に導く危険性を大きくする。 階層とは、組織に存在する、現場層、部門全体の財務責任層、 会社全体のコンプライアンス担当層等の段階的な構造を指す。 この階層のどの立場にあるかによって、仕事や関心に違いが あることは当然のことであり、そうでなければそれぞれが 自らの仕事を遂行することは不可能である。 この相違は、一人ひとりの善意や思いや積極性では解決できない。 また、コミュニケーションを改善することでも解決できない。 コミュニケーションは共通の言語と共通の理解がなければ成立しない。 この共通の言語と共通の理解という前提が欠けていることが 働く人々を誤った方向に導く大きな原因となるのだ。 「階層ごとにものの見方があって当然である。  さもなければ、仕事は行われない。  とはいえ、階層ごとにものの見方があまりに違うため、  同じことを話していても気づかないことや、  逆に反対のことを話していながら同じことを話していると  錯覚することがあまりに多い。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  24 自己管理による目標管理)     

■組織の階級的な構造■~全員の目を仕事の要求に向ける~

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組織のなかで働く人々が果たすべき貢献が、 共通の目標に向けられない四つの要因。 2点目 ◆組織の階級化  組織の階級的な構造 ドラッカーは、階級的な組織構造は、働く人々を 誤った方向に導く危険性をさらに大きくするとする。 つまり、必要以上の政治的影響力や力関係など、 仕事に必要な機能を超えた上下関係が誤りを生み出すのだ。 このような構造のなかでは、部下は上司の一挙手一投足を 自らの利害に関係するものと受け取るようになる。 本来と無関係な方向に部下の意識が向いてしまうのだ。 なので、組織構造は、全員の目を仕事が要求するものに 向けさせるものでなければならないのだ。 「上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までもが、  計算され意図された意味あるものと受け取られる。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  24 自己管理による目標管理)     

■三人の石切り工■~技能自体が目的となる危険~

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組織のなかで働く人々が果たすべき貢献は、 共通の目標に向けられなければならないが、 人をまちがった方向へ持っていく要因が四つある。 1点目 ◆技能の分化  技能自体が目的となってしまうこと ドラッカーは三人の石切り工の話を例に例える。 教会建設作業に携わっている作業員の3人に、 自分自身の行っている仕事について尋ねたところ それぞれ次のように答えた。 A:「暮らしを立てている」 B:「最高の石切りの仕事をしている」 C:「教会を建てている」 マネジャーとしては、”C”がふさわしい。 目的を理解して仕事を行っているということと、 きちっと自らの仕事についての説明を行っている。 アカウンタビリティを果たせている。 一方”A”は一日の報酬に対して一日の仕事をしているだけで、 多様な難関を乗り越えるための目的意識がない。 マネジャーにはふさわしくない。 しかし、ドラッカーは組織にとって最大の問題は ”B”にあるとする。 最高の技術は不可欠であり、組織は最高の技能を 作業員のそれぞれに要求しなければ二流の組織になる。 しかし作業員は、単に石を磨いているにすぎなくても、 ”大きなことをしている”と錯覚することがある。 技能の重要性は強調しなければならないが、 それは組織全体のニーズとの関連においてでなければならない。 技術や知識は道具でしかない、目的ではない。 目的は別のところにある。 「高等教育を受けた専門家が急増している。  技能も高度になっている。  彼らのほとんどは、それぞれの専門知識によって  組織への貢献を行う。  そのため技能自体が目的となってしまう危険が  ますます大きくなる。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  24 自己管理による目標管理)     

■四つの阻害要因■~貢献は共通の目標に向けられる。~

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次にドラッカーは、組織のなかで働く人々が果たすべき貢献について触れる。 まず、それらの貢献は共通の目標に向けられなければならないが、 組織には、人をまちがった方向へ持っていく要因が四つあるとする。 ◆技能の分化  技能自体が目的となってしまうこと ◆組織の階級化  組織の階級的な構造 ◆階層の分離  階層によって仕事と関心に違いがあること ◆報酬の意味づけ  報酬は、一人ひとりにとって、収入であり、位置付けとなること 「組織のなかの人間が果たすべき貢献は多様である。  それらの貢献は共通の目標に向けられなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  24 自己管理による目標管理)     

■要求されるのは成果だけ■~人を改造するためのものではない。~

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マネジメント開発にあらざるもの、3点。 ◆セミナーに参加することではない。 ◆人事計画やエリート探しではない。 ◆人を改造するためのものではない。 3点目 ◆人を改造するためのものではない。 マネジメント開発の目的の一つは、本人の強みを発揮させ、 それぞれのやり方によって活動し、さらにその結果として、 成果をあげさせるためのものである。 ドラッカーは、組織とそこに働く人との雇用関係に触れ、 ”雇用関係は特定の成果を要求する契約”にすぎないとする。 組織は、雇用関係を理由にして、働く人に忠誠、愛情、 行動様式などを要求してはいけない。 要求することは、マネジメントとして成果を上げることだけである。 「マネジメント開発は、人の性格を変え、  人を改造するためのものではない。  成果をあげさせるためのものである。  強みを存分に発揮させるためのもの、  人の考えではなく、自分のやり方によって  存分に活動できるようにするためのものである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  23 マネジメント開発)     

■エリート探しは有害■~軽んじられる人々~

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マネジメント開発にあらざるもの、3点。 ◆セミナーに参加することではない。 ◆人事計画やエリート探しではない。 ◆人を改造するためのものではない。 2点目 ◆人事計画やエリート探しではない。 マネジメント開発に当たって、一部のエリートを発掘して、 育てようとすることの誤りを指摘する。 なにが誤りか? ドラッカーは、エリートとして育てられる対象とならなかった 人々のことを指摘する。 彼らは、組織から軽んじられたと感じ、落ちこぼれたと理解する。 そして、10年後の組織の仕事は、一部のエリートではなく この大多数の人々がメインで行うこととなる。 そのとき、この多くの人々は軽んじられたことを覚えているため、 生産性は低く、新しいことへの意欲は湧かない。 一方、一部の選ばれたエリートの半分は、”口がうまいだけだった” ことが明らかになる。 マネジメントは、もともと適する者がいるわけではない。 エリートとしてではなく、一人ひとりの強みを存分に発揮させ、 成果をあげさせるための能力や資質を開発しなければならないのだ。 「マネジメント開発は、人事計画やエリート探しではない。  それらのものはすべて無駄である。  有害でさえある。  組織がなしうる最悪のことは、  エリートを育成すべく他の者を放っておくことである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  23 マネジメント開発)     

■マネジメント開発にあらざるもの■~セミナーに参加することではない。~

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ドラッカーは、マネジメントの開発の必要性について、 まず必要なことはマネジメント開発に当てはまらないものを 明らかにしなければならないとする。 マネジメント開発にあらざるものとして、3点を示す。 ◆セミナーに参加することではない。 ◆人事計画やエリート探しではない。 ◆人を改造するためのものではない。 1点目 ◆セミナーに参加することではない。 セミナーは道具の一つに過ぎない。 そしてその内容は組織全体と個々のマネジャーのニーズに合うものでなければならない。 しかし、いかなる種類のセミナーよりも、実際の仕事、上司、組織内のプログラム、 一人ひとりの自己啓発プログラムのほうが大きな意味を持つ。 「マネジメント開発とは、セミナーに参加することではない。  セミナーは道具の一つである。  それ自体マネジメントではない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  23 マネジメント開発)     

■体系的に取り組む■~運や偶然に任せることは許されない。~

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次にドラッカーは、マネジメントの開発の必要性について指摘する。 そもそも、明日のことは分らない。 明日は、今日と異なるということと、 今日の次に確実に訪れることぐらいしか分からない。 ”未来を予測することは不可能である。” なので、今日決定したことを実行に移し、必要な修正を行うという ”明日のマネジメントを行う者”を選び、育てる必要がある。 このことが行えて初めて、今日の意思決定を行ったマネジメントが、 その責任を果たすこととなるのだ。 生まれつきのマネジャーはいない。したがって、今日のマネジャーは、 明日をマネジメントすることとなるマネジャーを育成するために、 様々な体系的な取り組みを行わなければならないのだ。 「マネジャーは育つべきものであって、  生まれつきのものではない。  したがって、明日のマネジャーの育成、確保、技能について  体系的に取り組まなければならない。  運や偶然に任せることは許されない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第5章 マネジャー  23 マネジメント開発)