■三人の石切り工■~技能自体が目的となる危険~
組織のなかで働く人々が果たすべき貢献は、
共通の目標に向けられなければならないが、
人をまちがった方向へ持っていく要因が四つある。
1点目
◆技能の分化
技能自体が目的となってしまうこと
ドラッカーは三人の石切り工の話を例に例える。
教会建設作業に携わっている作業員の3人に、
自分自身の行っている仕事について尋ねたところ
それぞれ次のように答えた。
A:「暮らしを立てている」
B:「最高の石切りの仕事をしている」
C:「教会を建てている」
マネジャーとしては、”C”がふさわしい。
目的を理解して仕事を行っているということと、
きちっと自らの仕事についての説明を行っている。
アカウンタビリティを果たせている。
一方”A”は一日の報酬に対して一日の仕事をしているだけで、
多様な難関を乗り越えるための目的意識がない。
マネジャーにはふさわしくない。
しかし、ドラッカーは組織にとって最大の問題は
”B”にあるとする。
最高の技術は不可欠であり、組織は最高の技能を
作業員のそれぞれに要求しなければ二流の組織になる。
しかし作業員は、単に石を磨いているにすぎなくても、
”大きなことをしている”と錯覚することがある。
技能の重要性は強調しなければならないが、
それは組織全体のニーズとの関連においてでなければならない。
技術や知識は道具でしかない、目的ではない。
目的は別のところにある。
「高等教育を受けた専門家が急増している。
技能も高度になっている。
彼らのほとんどは、それぞれの専門知識によって
組織への貢献を行う。
そのため技能自体が目的となってしまう危険が
ますます大きくなる。」
~P.F.ドラッカー「マネジメント」
(第5章 マネジャー 24 自己管理による目標管理)
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