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■ノーを決定するプロセス■~歳出は歳入に見合わなければならない。~

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おはようございます。 曇り空の寒い川崎の朝ですが、 段々青空が広がってきました。 現職の閣僚である甘利大臣が カネの問題で辞任した。 記者会見の話しっぷりは どうも釈然としない。 秘書に責任転嫁し、 自分は被害者と言わんばかり。 忘れた、記憶がないは、 例の野々村さんと同じで、 たわごとでしかない。 政治の劣化が言われて久しい。 野党のきっちとした対応が問われる。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ イノベーションの祖であるシュンペーターは、 政府というものの誕生以来、 予算編成のプロセスは 常に歳入の見積もりから 始まっていることを指摘した。 しかし、歳出は歳入に 見合わなければならない。 歳入に限界があることが 知られているかぎりは、 民主国家だろうが、絶対君主国であろうが、 政府はこの制約のもとに活動する。 この制約のゆえに、政府自らは、 経済的な機関とも社会的な機関ともなりえない。 しかし、第二次大戦後、 予算編成は事実上イエスを言う プロセスを意味するようになった。   「歳出は歳入に見合わなければならない。  大義の供給は無限であり、  歳出へのニーズもまた無限である。  したがって予算編成とは、  何についてノーを言うかを決定するプロセスだった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■フィスカル・ステイトへの変貌■~政府は極度の制約のもとに活動する。~

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おはようございます。 雨の川崎の朝は冷え込んでいます。 真冬並みの寒さ、真冬だから仕方ないですね。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、 今世紀の二つの世界大戦が、 国民国家を財政国家(フィスカル・ステイト) に変えたとする。 第一次大戦前までは、 いかなる政府も、国民所得の5~6%を限度とした 額しか国民から取りあげることはできなかった。 ところが第一次大戦中の交戦国は、 限度なく国民から絞り取った。 その結果、あらゆる交戦国の 国民経済が貨幣化され、 それぞれの国の総国民所得を超えて 徴税、借入を行った。 これらの国は、 数十年にわたって蓄積してきた資本を 戦費に使った。   「第二次大戦後、  ついに先進国のすべてと  多くの途上国が、財政国家となった。  その結果、政府による徴税と借入には、  経済的な限界は一切なく、  したがって政府の支出にも  経済的な限界は一切ないとの考えが  確信されるに至った。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■経済の天候の管理者■~コントロールできるものではない~

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こんばんわ 寒い一日でしたね、でも雪には一息。 まだこの時間大丈夫です。 前職の会社の仲間たちと 楽しいひと時を過ごして帰って来れば、 寒さも何のことはないですね。 みんなそれぞれの人生を頑張れ! ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ 経済学は、市場経済は自律的であるとし, 社会主義は、私有財産制を廃止するならば、 経済は自律的にコントロールされるとしていた。 国家とその政府の仕事は、 通貨を安定させ、税を低く抑え、 節倹と貯蓄を奨励することによって、 経済発展のための「気候」を 維持することであるとされていた。 経済学は、国民国家と その政府を国民経済の主として扱い、 経済の天候の管理者に仕立てあげた。   「経済の「天候」すなわち景気変動は、  それを引き起こすものが  国民国家の内部のできごとだけでなく、  世界市場のできごとでもありうるという理由から、  何ものかがコントロールできるものではないとされた。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■経済の主役としての経済国家■~経済の天候の管理者~

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おはようございます。 今朝も寒い朝を迎えた川崎です。 東京地方は、暖かな一日になりそうです。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ 19世紀末、政府は経済的な機関となった。 その一歩はアメリカで踏み出された。 そして、その数年後には、 アメリカにおいて産業の公有が始まった。 それは初め、1880年代ネブラスカ州で行われ、 その数年後、1897年から1900年にかけて、 オーストリアで、首都の市電、電力、ガスを 没収し市有化した。 それらを行った人たちは、 社会主義者ではなかった。 彼らは資本と労働の間で 急速に激化しつつあった 階級闘争を緩和するための手段として、 産業の公有を行った。   「1870年代以降、アメリカは、  金融、鉄道、電力、電話に対する規制を  着実に強化していった。  一九世紀の優れて独創的な政治的発明である政府規制は、  そもそもの初めから、  資本主義と社会主義の間の第三の道、  資本主義に伴う諸々の問題に対する  対応策として理解された。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■もっとも適切な実行者■~政府の役割の変化~

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おはようございます。 寒く明るい川崎の朝ですが、 日中は相当暖かくなりそうですね。 しかし、西日本では、 寒波断水が復旧していない。 気をつけて下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、かつての福社政策のなかでは、 第二次大戦直後のアメリカの 復員兵援護法がもっとも成功したとする。 この法律は、復員兵に 高等教育を受ける道を与えたが、 政府は、行くべき大学を指定せず、 自ら大学を運営しようともしなかった。 一種の奨学金を与えたにすぎなかった。 何を学ぶかは復員兵自身が決めた。 学生の受け入れを強要された大学もなかった。 これに対し、政府の役割を 単なる支給者以上のものにした最初の社会政策が、 イギリスの国民健康保険制度だった。 これが、社会的な領域における 政府の役割の変化の第一歩となった。  それどころか、民間の活動のほうが 疑わしく見られるようになった。 リベラルの理性主義は、 社会的な領域における民間の活動を 反動的ないしは差別的とした。 「政府は、支給者、保険者、規則制定者、  促進者ではなくなり、自ら経営者となり、  実行者、管理者となった。  こうして1960年ころには、あらゆる国において、  あらゆる社会的な問題について、  政府こそがもっとも適切な実行者ということになった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■福祉国家の発明■~支給者から実行者への変質~

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おはようございます。 快晴の続く東京地方ですが、 西日本では、気象観測上稀にみる 寒波被害が出ています。 お気を付け下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ビスマルクによる福祉国家は、 階級闘争の危険に対する 対応策として意図された。 ビスマルク以前は、 政府は政治的な機関にとどまっていたが、 このビスマルクの思想が 政府を社会的な機関に変えた。 彼の発明した福祉政策、健康保険、 労災保険、老齢粘菌は、 小規模であったが、 コンセプトが革命的だった。 共産主義やファシズムにおいては、 1920年代から政府自らが 社会的な諸機関を管理してた。 民主主義においてもやがて急速に変化し、 国家は、支給者から実行者へと変質した。 「国民国家から大国家への移行が始まったのは、  一九世紀の最後の数十年だった。  最初の小さな一歩が、  1880年代のビスマルクによる  福祉国家の発明だった。  彼の目的は、急速に水かさを増しつつある  社会主義の潮流と闘うことにあった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■大国家は、冷戦を登場させた。■~主権者の恣意から守る~

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おはようございます。 冷え込んだ晴天の川崎の朝です。 琴奨菊が優勝した。 がぶり押しに自信を持てたものと思う。 強みを生かせればOK ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ 国民国家は、市民の生命、自由とともに、 市民の財産が主権者の 思いのままにならないように意図された。 ところが大国家においては、 市民による財産の保有は 税務当局の判断にまかされる。 ジョセフ・シュンペーターが、 指摘したように、大国家では、 市民は、国家が明示的あるいは 暗黙裏に許可するものだけを 保有することが許される。 「ボダンの国民国家が果たすはずだった   最大の機能は、特に戦時において   市民社会を維持することにあった。   それが国防の意昧だった。   ところが大国家には、   平時と戦時の境界さえない。   大国家は、平和の代わりに   冷戦を登場させた。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■国民国家からメガステイトヘ■~猫と豹のように違う。~

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おはようございます。 晴れ間の覗く川崎の朝。 幸い昨日は小雨に収まりましたが、 西日本は大変な様子です。 お気を付け下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ 1870年、国民国家は あらゆる国で勝利を収めた。 1870年当時の国民国家は、 300年前ボダンが唱えたとおりの 主権を有する国民国家となった。 しかし、1970年の国民国家は、 ボダンが唱えた国民国家とも、 1870年当時の国民国家とも、 まったく似ても似つかないものとなった。 国民国家は大国家(メガステイト)となり、 それは、1870年当時の国民国家と 種は同じかもしれないが、 猫と豹のように違う。 「国民国家は、もともと市民社会の  擁護者として意図された。  ところが、大国家は市民社会の主である。  その極ともいうべき全体主義国家に至っては、  市民社会そのものを解体した。  全体主義のもとでは、  すべての社会が政治社会となる。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■統合力の欠落■~全能の大国家と化した。~

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おはようございます。 雲の多い川崎の朝は、冷え込んでいます。 今日から明日にかけて またぞろ雪の予報が出されています。 ご注意を! ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬  イギリスのインド支配は、 インド人上流階級を生んだが、 彼らは大英帝国や王室に執着することはなかった。 そしてインドの独立運動家となった。 オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど 大英帝国の白人領はイギリスの伝統を 誇りにしていたにもかかわらず、 さっさと独立して国民国家となった。 こうして近代のあらゆる帝国が、 国民国家を超越することも、 国民国家に代わることもできずに崩壊した。 「近代の帝国には統合力が欠落していた。  人々を結合し、政治社会を構築し  市民を創造することができたのは、  国民国家だけだった。  全ヨーロッパの盟主たらんとした者たちは、  自らの建設した超国家を  政治的に統合できなかった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■近代帝国の失敗■~単に帝国でなかったにすぎない。~

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おはようございます。 十年に一度の寒波が日本列島を覆っており、 冷え込んだ川崎の朝です。 昨日は誕生日の祝メッセージを いただきまして感謝いたします。 毎年誕生日に思うことは、 大寒という一年で一番寒い日に 十分な暖房も確保できない自宅で 苦労して生んでくれた母親に対する感謝です。 さあ、この一年も変化へのチャレンジを続けまっせ。 どうぞよろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、植民地帝国の全てが 虚構だったわけではなく、 単に帝国でなかったにすぎないとする。 それらは植民地を有する 国民国家にとどまった。 植民地帝国の時代は、 ローマ帝国の時代とほは同期間、 約400年続いた。 ローマ帝国に匹敵する 政治的、社会的、経済的統合のために 十分な時間はあったはずであるが、 そのようなことは後世の帝国では 試みさえされなかった。 「メキシコ、コロンビア、ブラジルで、  スペイン帝国やポルトガル帝国の消滅を  悲しむ者はいなかった。  イギリス、フランス、オランダ、日本など  20世紀の植民地帝国の消滅を悲しむ植民地人は、  さらにいなかった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■植民地帝国と超国家の研究■~既得権者を脅かすもの~

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おはようございます。 青空に朝焼けがきれいな、 川崎の朝です。 土曜にはまた、 降雪の可能性もあるとのこと。 注意が必要です。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ もちろん、これらのもののすべてが、 武装家臣団と、裁判権と、 徴税権をもつ地方領主、司教区や修道院、 自由都市やギルドなど、 もろもろの既得権者を脅かすものだった。 だがスペインの脅威は、 彼ら既得権者に、国家主権に従属するか、 外国主権に征服されるかの道しか残さなかった。 今日、あらゆる大学において、 歴史学の権威ある講座は、 すべて国民国家の歴史についてのものである。 歴史の研究と教育は、国民国家としてのイギリスを中心に行われている。 それでは植民地帝国や 超国家の無視は何に由来するか。 それは、植民地帝国や超国家が、 歴史上いかなる機関も生み出せなかったためである。 「このとき以来、  ヨーロッパの国民国家における  政治構造の変化はすべて、  ヨーロッパの盟主として  国民国家を超国家に変えようとした  フランスや、ドイツや、  ロシアの試みによって進展し、  少なくとも引き金を引かれた。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■国民国家の誕生■~超国家の脅威に対する反応~

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おはようございます。 未明の川崎は、晴れていますが、 寒い朝を迎えました。 明日は大寒、寒もピークを 迎えたってところでしょうか。 足元の残雪もアイスバーン、 お気を付け下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、国民国家が 超国家を生んだというよりも、 国境を超えた超国家の脅威に対する反応として 誕生したのが国民国家だったとする。 アメリカ大陸に建設された スペインの植民地は、 豊富な金銀をもたらし、 その恩恵で最初の近代組織である 歩兵部隊をもつことができた。 スペインがヨーロッパ支配を 望むことができたのは、 この軍事力のおかげだった。 このスペインの軍事的脅威によって、 ジャン・ボダンが『国家論』を書き、 国民国家を発明した。 そのボダンの国民国家をヨーロッパにおける 進歩的大義とさせたものが、 スペインの脅威だった。 「ボダンの国民国家と  その諸機関が受け入れられたのは、  スペインの脅威があまりに  大きかったためだった。  ボダンが考えたものは、  主権者にのみ従う中央集権官僚機構、  中央任命による職業軍人が率いる常備軍、  中央任命の専門家による  法廷、通貨と税と税関だった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■政治を動かしてきた原動力■~政治体制を構築する試み~

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おはようございます。 未明の川崎は、雲が少ない晴模様の朝を迎えました。 昨日の東京地方は、大雪が出勤時間に重なり大混乱、 電車は1~2時間遅れはざら。 やはり都会は雪に弱いですね。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、 今日あるものは新”世界無秩序”であるとした。 そしてそれが、 どれほど続くかは不明であるとする。 過去400年の世界史は 国民国家の歴史だった。 しかし、ここにいささか皮肉な現実があると ドラッカーは続ける。 「この400年、  世界の政治を動かしてきた原動力は、    国民国家ではなく、  国民国家の枠を超えた政治体制を  構築する試みだった。  植民地帝国形成の試みであり、  超国家建設の試みだった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■新世界無秩序■~大国家「メガステイト」へ~

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おはようございます。 既に雪に覆われた川崎の朝です。 今から出勤時間、混乱するでしょうね。 足元もお気を付け下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、 資本主義後の社会を ポスト資本主義社会と呼ぶ。 後を引き継ぐ社会がなにものかは、 未だ不明確であるため、 ”ポスト”である。 社会の体制や構想の変化と同じように、 政治の体制と構造の変化も大きく、 世界的な変化である。 ドラッカーは、 そのかなりの部分はすでに現実であるとする。 「明日の世界秩序が現れる前に、  昨日の世界秩序が消える。  われわれは今日、政治家が口にする  新世界秩序なるものを手にしてはいない。  今日あるものは新世界無秩序である。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 5章 国民国家から大国家「メガステイト」へ) Amazonプライム・ビデオ

■いかなる政治概念とも、関わりがない。■~特定の生活文化を意味しない。~

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おはようございます。 雲の多い川崎の朝。 段々下り坂の天候になりそうです。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、 組織の従業員として働く 多くの人達は、 経済的社会的に、 特定の利害に関わらず、 特定の生活文化を持たない。 そして、いかなる政治概念とも、 関わりがない。 彼ら知識労働者は、マーク・ハナや ルーズヴェルトの時代が基盤としていた アメリカ社会の概念を否定する存在である。 しかし今日のところ、 彼らに合う政治思想も、 政治的に結集するものもない。 「現代の先進国社会では、  働く者のほとんどが  組織の従業員として働く。  高度の教育を受けているほど、  一生を従業員として送る。  そのような身分は、  経済的にも社会的にも、  何ら特定の利害を生じない。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■知識労働者にはなじまない■~プロレタリアートではない~

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おはようございます。 快晴の川崎の朝です。 行楽日和になりました。 週末をお楽しみ下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、 新しい多数派である知識労働者は、 政治的に見て、利害集団の概念に なじまない存在であるとする。 彼らはプロレタリアートではないし、 搾取される階級とも思っていない。 集合的に見るならば、 彼らこそ、年金基金を通じて アメリカ唯一の資本家というべき存在である。 彼らは部下と上司を同時にもち、 中流階級ではない。 そして、収入の多寡はあるにせよ、 単一の階層ではある。 「企業、病院、大学のいずれで働こうが、  経済的、社会的には同じ階層である。  企業の経理から病院の経理に移っても、  経済的、社会的地位に変化はない。  単に仕事を変えたにすぎない。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■階層の消滅■~ワインよりもビールを好む~

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おはようございます。 今日も快晴の川崎の朝です。 週末も晴れる模様ですね。 お楽しみ下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、階層としての価値観や 生活様式はほとんどなくなった。 残っているのは、一部の単に時代に遅れた 存在にすぎない。 今日でもアメリカの畜産業者は 自分たちを農民だと思っている。 だが彼らこそ、世界でもっとも コンピュータを駆使している人種である。 また同様に、デトロイトの 自動車工場の工員は労働者であるが、 かつての労働者階級の 生活文化とは無縁である。 似ているところと言えば、 せいぜいワインよりも ビールを好むことぐらいである。 ドラッカー自身が、 アメリカでもっとも 戦闘的な自動車工場の 組合幹部から聞いたところでは、 組合員の関心は、 旅行用のトレーラーハウス、 湖での魚釣り用のボートハウス、 あるいは退職年金であるとのことであった。 彼らは、他の階層の人たちと 同じテレビ番組を見る。 そして、、、 「同じスーパーヘ行き、  同じ物を買う。  そして同じような休暇をとる。  仕事は違う。  生活文化はもはや違わない。  利害ではなく、自らの購買力によって、  自らの社会に占める場所を位置づける。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■利害ではなく、生活文化■~社会的、文化的価値~

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おはようございます。 薄明りの空、寒い川崎の朝です。 今日も晴れ、一日よろしくお願いします。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、 これらの集団に独自性を与え、 統一行動をとらせたものは、 利害ではなく、生活文化だったとする。 それらは、経済的な結びつきというよりも、 社会的な結びつきであったといえる。 彼らは、むかし気質の労働者であったり、 田舎の農民であったり、 町の商店主だった。 それぞれが、自分たちの新聞を読み、 自分たちの教会に行き、 同じ地区に住んでいた。 そして、それぞれの価値観と ライフスタイルを持ち、 自分たちが何者かを意識していた。 それは、マルクス主義の言う 階級意識ではなかった。 マーク・ハナのビジョン以降、 誰も社会の他の階層や階級から 搾取されているとの意識はもっていなかった。 だが彼らは、他の階層とは違う人生を生き、 社会において、違う場所を占め、 違う役割を担っていることを自覚していた。 「マーク・ハナやルーズヴェルトは、  「利害」を合い言葉として使った。   二人がこの言葉によって意味したことは、   社会的な価値であり、   文化的な価値であり、生活文化だった。   二人ともこのことを承知していた。   量的な概念について話すことによって、   実際には、質的な概念について話していた。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■政治的な団結と統一■~もはや独自の存在ではない。~

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おはようございます。 未明の川崎、冷え込んだ朝です。 東京では、今年初の零下。 今日は晴れの見込み、 お陽さんがありがたく感じる 一日になりそうです。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ マーク・ハナの時代、アメリカでは、 農民が労働人口の半分を占め、 ルーズヴェルト政権のころ、 工場労働者は労働人口の五分の二に近かった。 しかし今日、農民は三%以下であり、 工場労働者は20%にすぎない。 経済界も、利害集団としては もはや存在しない。 さらに重要なこととして、 それらの集団は、社会的にも、 もはや独自の存在ではなくなっている。 確かに畜産業者は農民である。 だが彼らの利害は、 タバコ栽培者とは異なる。 同じように熟練労働者の利害は、 大量生産工場の未熟練労働者とは異なる。 「マーク・ハナが結集した  利害集団としての経済界は、  ゼネラルモーターズや  シティバンクではなかった。  靴屋、料理店、木工屋だった。  確かに今日に至るも、  それらの人たちはいる。  しかし、自分たちが  経済界であるとは思っていないし、  独自の利害集団に属しているとも  考えていない。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■陳腐化の原因■~利害集団としての規模と重要度~

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おはようございます。 冷たい雨の振る川崎の朝です。 東京横浜で、例年より遅い初雪。 やっと冬、ですね。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ しかし、このマーク・ハナと フランクリン・ルーズヴェルトの 「利害による連合」による政治も、 「社会による救済」と同じく陳腐化した。 アメリカ以外の国でも、 「利害による連合」は有効でなくなりつつある。 ドラッカーは、「利害による連合」が 有効に機能しなくなった第一の原因は、 そもそも経済的に、利害集団そのものが 共通の利害をもつ階層ではなくなったことにあるとする。 「日本では自民党が選挙に勝ってきたが、  それは野党が「社会による救済」のイデオロギーを  信奉したままであって、  自民党よりもさらに  魅力のない存在だったからにすぎない。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■日本とヨーロッパにおける成功■~基盤は「利害による連合」~

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おはようございます。 三連休最終日、 寒く雲の多い川崎の朝です。 今日は成人の日、 社会を担う新成人121万人。 ひとかどを目指してほしい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬   政治的イデオロギーに代わって、 繁栄の旗のもとに 経済的利害集団を統合するという マーク・ハナ流の政治は、 アメリカ以外でも機能した。 ドラッカーは、 戦後もっとも実効力のあった 日本の政治が、このマーク・ハナ流の 「利害による連合」に基盤をおいていたとする。 アメリカと同様に、 大都市や地方には有力者がおり、 利害集団間の合従連衡をくり返し、 同じような取引が行われている。 そして、同じような腐敗が見られる。 「1950年以来、  日本の政治を担ってきた自民党にも、  際立って日本的な特徴がいくつかある。  しかし、自民党の政治と組織構造は、  1930年代のルーズヴェルトの民主党や  1920年代のクーリッジの共和党に  きわめてよく似ている。  日本にも当時のアメリカと同じ派閥がある。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■分裂と内戦の二十世紀■~希望の光と道しるべ~

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おはようございます。 今日も行楽日和、 快晴の川崎の朝です。 、 連休中日、お楽しみ下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ルーズヴェルトは、 労働組合の代表を政権に参画させたために、 経済界からは左翼的と見られたが、 労働組合が単独の政治勢力として、 立法や行政を支配する事態は避けた。 発言は反企業的だったが、 政策そのものは終始一貫して、 購買力の向上によって消費需要を増大させ、 経済活動に利益をもたらすというものだった。 農民の利益を強く支持したものの、 前任の大統領が保護主義に走ったのに対し、 断固としてマ-ク・ハナの伝統を守り、 農業をはじめとする生産性の向上に取り組んだ。 しかも彼は、経済発展による繁栄に加えて、 政治改革を中心にした 社会正義を据えることによって、 社会に希望を与えた。 「イデオロギーの分裂と内戦の二十世紀にあって、  これほどまでに世論の統合に成功した政府はなかった。  1930年代において、  アメリカが世界にとって  希望の光と道しるべとなったわけもここにあった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■ルーズヴェルトの政治■~「利害による連合」の再建~

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おはようございます。 予報通りの寒く快晴の空が広がる川崎の朝です。 行楽日和、三連休をお楽しみ下さい。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ アメリカにおいて40年後、 民主党のルーズヴェルトが 「利害による連合」を再建した。 この1932年の選挙は、 ルーズヴェルトの勝利ではなく、 共和党候補のハーバート・フーヴァの自滅だった。 しかし、ルーズヴェルトが 民主党の大統領候補指名争いにおいて、 アル・スミスに勝ったのは、 アメリカの政治をヨーロッパ流の イデオロギーの争いに変えようとしたスミスの政策を、 断固否定したからだった。 ルーズヴェルトは、政府に対し、 社会に生命力を与える革新的 かつダイナミックな存在としての役割を与えた。 政府は、農家、労働組合、経済界という 三者の力を均衡させ、 三者のいずれかが他の二者によって 抑圧され搾取されることのないよう、 あるいは三者のいずれかが 他の二者を支配することのないよう、 自ら調整機能を果たすことになった。 「ルーズヴェルトのもとで、  政府は統合と均衡の二つの役割を担った。  事実、政府の存在が社会的な均衡を  維持することになった。  ルーズヅェルトの経済政策そのものは、  ことごとく失敗だった。  だが、政治的、社会的には、  アメリカの歴史において  もっとも輝かしい成功を収めた。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■政治史におけるイノベーター■~政治をイデオロギーから切離す。~

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おはようございます。 未明の川崎、暗いながら明るさを感じる朝です。 東京地方は三連休に向け冬型、 寒い快晴が続きそうです。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ ドラッカーは、マーク・ハナこそ、 政治史における真のイノベーターであり、 彼に匹敵する政治家は アメリカにはいなかったとする。 過去100年間、 アメリカの政治において機能したものは、 すべてこのマーク・ハナによる 経済的利害の政治的統合によってもたらされた。 マーク・ハナの共和党は、 「利害による連合」によって政権の座についた。 マーク・ハナは、「利害による連合」の 理論と組織を生み出すことによって、 共和党の中心となった。 しかし今日、マーク・ハナの評価は高くない。 ドラッカーは、その理由を次の通り述べる。 「彼はアメリカの政治を  イデオロギーから切り離した。  政治にはイデオロギーを伴うべしとする政治学者が、  それを許すはずがなかった。  彼らにとって、尊敬すべき政治とは、  現実ではなく主義でなければならなかった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ

■階層の統合による政治■~経済的な公約の提示~

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おはようございます。 未明の川崎、今日も雲が多く暗い朝です。 今日は七草、粥を食べて 痛めた五臓六腑を労わりましょう。 ---------------------- ∬ちょこっと、ピーター.ドラッカー∬ 長期の間「社会による救済」だけが 脚光をあびてきたが、 それが唯一の政治原理だったわけではない。 1890年代以降、その競争相手として登場したのが、 「利害による連合」だった。 伝統的な政治用語でいえば、 階層の統合による政治だった。 それは、「社会による救済」の提示する 社会的な理想郷に対して、 経済的な公約を提示した。 この「利害による連合」の概念はローマに遡り、 それが政治の現実となったのは、 19世紀末のアメリカにおいてだった。 ヨーロッパでは、ビスマルクの福祉国家が、 階級闘争の鎮静化に成功し、 マルクス社会主義者が 社会民主主義者へと変わり、 小市民となりつつあった。 しかしアメリカでは、より過激で反体制的な 新しい政治運動たるポピュリズムが生まれ、 力を得つつあった。 「1896年の大統領選で、政治家マーク・ハナが、  繁栄という名の共通の利害  すなわち経済成長の名のもとに  経済的利害集団つまり経済的階層を統合したのは、  他ならぬこのポピュリズムがもたらしつつあった  階級闘争の危険に対処するためだった。」 ~『イノベーターの条件』 (Part3 模索する政治 4章「利害による連合」の終わり) Amazonプライム・ビデオ