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■会議なしに動く組織■~組織構造上の欠落補完~

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≪悪い組織≫ その4 ◆大勢の人間を集める会議を頻繁に開催しなければならないこと ドラッカーは、取締役会のような、会議が意思決定の場である場合を除いて、その他の会議はすべて不要だとする。 多数の人を必要とする会議を頻繁に実施しなければならないということは、組織を構成する各部門がそれぞれの中で方針や活動を決められないことを意味する。 各部門が自律的に自らの機能を果たす構造になっていないから、このような状態になるのだ。 ドラッカーは、それぞれの部門が自らの責任で組織全体の成果に向けて、意思決定し活動できることが理想の組織なのだとする。 「理想的な組織とは、会議なしに動く組織である。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■美術館に飾れる組織図はない。■~問題は組織そのもの~

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≪悪い組織≫ その3 ◆主要な人の注意を、重要でない問題や的はずれの問題に向けさせること 組織構造の原則は、組織運営に大きく関わる人が、重要な問題にのみ関心が持てるものでなければならない。 では、重要でない問題や的はずれの問題とは? 例えば、勤務態度、礼儀作法、手続きなどは、活動に対する制約条件であり、組織の成果や業績に大きな影響を与えるものではない。 また、持つべき機能を考慮することなく、一般的な組織論に則って組織構造を機械的・形式的に部門を組み立てると、その組織自体が目的となりそれぞれが縄張り意識を持つこととなってしまう。 これは重要な問題ではないが、組織全体の障害事項であるので、注意を向けざるを得なくなる。 こういった問題に、主要な人の関心を向けさせることは、本来行うべき重要な問題への対応を制限することとなる。 これらの問題は、成果ではなく、組織構造そのものに焦点を合わせていることから発生するもので、手段が目的を超え独り歩きしていると言える。 また、組織構造を表す組織図は、組織構造の認識を合わすための共通言語とするために、現実の組織構造を分かりやすく単純化したものにすぎない。 なので、組織図には現実の役目や活動の全てが網羅されているものではない。 あくまでも、組織図は組織が成果を上げるためのひとつの手段でしかないにもかかわらず、一旦作り上げた組織図自体が目的化してしまう。 ドラッカーは、この組織図を絶対視して組織構造の改革に手をつけてしまうことは、まちがった組織をつくりあげてしまうとする。 「美術館に飾れる組織図などありえない。  問題はあくまでも、組織図ではなく組織そのものである。  組織図は、組織構造について議論するとき、  同じ言葉で話し合えるようにするための道具である。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■思考、明晰さ、理解■~問題の解決は、正しい分析以外にない。~

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≪悪い組織≫ その2 ◆組織構造に関わる問題が頻繁に発生すること 組織に関わる問題を解決したとたんに、同じ問題が装いを新たに登場してくる。 特に職能別部門や、スタッフとラインについての伝統的な組織論に従って組織を設計したとき、組織構造に関わる問題が続々と出てくる。 問題の解決は、正しい分析以外にない。 それは、活動分析、貢献分析、決定分析、関係分析である。 「繰り返し出てくる組織構造上の問題を、  紙の上の調整で解決しようとしてはならない。  必要とされるものは、思考であり、明晰さであり、理解である。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■階層の増加は、目標を混乱させる。■~指揮系統を短くする。~

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≪悪い組織≫ その1 ◆マネジメントの階層が増加すること 組織の階層は数を少なくし指揮系統を短くしなければならない。 階層が増加すると、コミュニケーションパスは膨れ上がり、その間のノイズは増大し深まる。 その中で、伝わるべきことが伝わらず、チームワークが阻害され、合うべきベクトルが誤った方向に向かってしまう。 また、階層の増加は、将来を担うべきマネジャーの育成にも重大な障害となる。 その理由の一つ目は、階層の数が多いだけ昇進に時間がかかりすぎることで、 二つ目は、その間において、マネジャーよりも特定分野の専門家を育成してしまうことだ。 そこでこのような事態を回避するために、往々にして、天才児を探したり、未だ能力が不明な者を後継者として拙速に決めるなどの特効薬を求めてしまう。 しかし、これはきわめてまずい方法である。 では、必要な階層の数とは? ドラッカーは、カトリック教会を例に挙げる。 ”ローマ法王と最下層の教会司祭の間には、権限と責任に関わる階層は、ただ一つ存在するだけである。 司教である。” 持つべき権限と責任の質・量と併せて次世代の責任者が必要となるまでの時間軸を考慮して決めるべきなんでしょう。 「組織の原則は、階層の数を少なくし指揮系統を 短くすることでなければならない。 階層の増加は、組織内の相互理解と協同歩調を困難にする。 目標を混乱させ、まちがった方向に注意を向けさせる。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■悪い組織とは?■~完璧な組織構造はありえない。~

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ドラッカーは、組織設計に必要な分析手法を示した。 では、悪い組織とはどういったものか? ≪悪い組織≫ 組織の基本単位を設計し、それを組み立てる際に見られる誤りと、 組織に重大な欠陥があるとき、もっとも多く現れる症状として ドラッカーは、次の7点を指摘する。 ◆マネジメントの階層が増加すること ◆組織構造に関わる問題が頻繁に発生すること ◆主要な人には重要でない問題や的はずれの問題に向けさせること ◆大勢の人間を集める会議を頻繁に開催しなければならないこと ◆人の感情や好き嫌いに気を使うようになること ◆実際の仕事をしない人たちを必要とするようになること ◆頻繁に組織改革を行うこと 「完璧な組織構造などありえない。  せいぜいできることは、  問題を起こさない組織をつくることである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■必要不可欠な作業■~関係分析の結果に従う~

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ドラッカーは、活動間の関係は、 重要な意味あるものだけに限らなければならないとした。 ドラッカーは、この原則に立つとき、職能を類似技能の集合として 扱っていることは、大きな誤りであるとする。 例えば、プランニング活動としての計画策定という職能は、 人員に関するものと生産に関するものをひとまとめにしてはならない ということである。 生産に関するプランニング活動は生産部門に入れなければならない。 このことによって、プランニングの担当者を生産部門の現場に近い場所に 位置づけることができる。 生産に関するプランニングの担当者は生産部門が属すべきところなのだ。 ドラッカーは、これまで見てきた活動分析、貢献分析、決定分析、 関係分析の四つの分析は、あらゆる企業にとって、必要不可欠な作業であり、 しかも必ずうまく行わなければならない作業であるとする。 「活動分析、貢献分析、決定分析、関係分析の四つの分析は、  さほど手間のかかるものではない。  いかなる場合においても、これらの分析をおろそかにしてはならない。  あらゆる企業にとって、必要不可欠な作業であり、  しかも必ずうまく行わなければならない作業である。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■誰と協力する必要があるのか?■~活動間の関係は最小限に~

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組織の構造設計の最後の分析は≪関係分析≫である。 この分析は、組織内で行われる活動の相互間の関係の分析、 つまり、組織単位の位置づけを決定するものである。 つまり、 ◆誰と協力する必要があるのか? 『どこの誰と協力して働かなければならないか』 ◆誰に対して、どのような支援を行うのか? 『どこの誰に対して、いかなる種類の貢献を行わなければならないか』 ◆だれからどのような支援を受けられるのか? 『どこの誰から、いかなる種類の貢献を受けることができるか』 決定することである。 原則は、活動間の関係は、重要な意味あるものだけに 限らなければならないということである。 「活動間の関係を最小限に絞ることが、  組織構造における活動の位置づけについての原則である。  致命的に重要な関係は、円滑、密接、中心的な関係としなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■意思決定の二つの原則■~低いレベルと高いレベル~

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ドラッカーは、組織の中での意思決定には次の二つの原則があるとする。 ◆第一の原則 可能なかぎり低いレベル、現場レベル、行動に近いところで行う必要がある。 つまり、どの程度の低さで意思決定を行わなければならないかについて問う。 ◆第二の原則 この意思決定によって影響を受ける活動全体を見通せるだけの高いレベルで行う必要がある。 つまり、どの程度の高さで意思決定を行わなければならないかについて問う。 このことにより、意思決定に参画すべき者や、その結果を知らされるべき者の範囲が明らかになる。 ドラッカーは、この二つの原則から、個々の活動を組織のどこに位置づけるかが明らかになるとする。 「意思決定は常に、可能なかぎり低いレベル、  行動に近いところで行う必要がある。  これが第一の原則である。  同時に意思決定は、それによって影響を受ける  活動全体を見通せるだけの高いレベルで行う必要がある。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■高度のレべルが必要な問題■~定性的要素や発生頻度~

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組織設計で行うべき4つの分析。 NO3【決定分析】 意思決定分析、四つの観点 ◆考慮に入れるべき定性的要素の数 考慮に入れるべき定性的要素とは、企業の行動原則、価値観、社会的政治的な信条等を指す。 この定性的要素の数によって分類する必要がある。 価値観や人にかかわる問題については、高度のレベルでチェックや意思決定しなければならない。 ◆問題の発生頻度 発する問題について、繰り返し発生するか、まれにしか発生しないかによって分類する。 繰り返し発生する問題については、対応すべき原則をあらかじめ決定しておけばよいが、 初めての問題は一つの独立した事件として扱わなければならない。 「繰り返し出てくる問題については、 原則を決定しておけばよい。 これに対し初めての問題は、 それ自体一つの独立した事件として扱わなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■望ましくない部分最適■~時間の長さや影響の度合い~

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組織設計で行うべき4つの分析。 NO3【決定分析】 意思決定分析、四つの観点 ◆影響する時間の長さ 意思決定によって、将来の行動を束縛される期間によって分類すること。 ◆他の部門や他の分野、あるいは組織全体に与える影響の度合い 意思決定によって、他の部門や他の分野、 あるいは組織全体に与える影響の度合いによって分類する。 そして、その影響が部門内だけの場合は意思決定は低いレペルで行うべきで、 逆に他の部門に影響を与える意思決定は、一段高いレペルで行うか、 影響を受ける部門と協議のうえで行わなければならない。 ドラッカーは、ある一つの分野を最適化するために他の分野を犠牲にすることは、 望ましくない部分最適であるとする。 「一つの職能あるいは一つの分野における最適化を、  他の職能や他の分野での犠牲によって達成しようとしてはならない。  それは望ましくない部分最適である。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■意思決定の権限や責任■~組織における仕事の位置づけ~

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組織設計で行うべき4つの分析。 NO3【決定分析】 次に必要なことは意思決定の分析である。 「成果を手にするには、いかなる種類の意思決定が必要か」 「それらの意思決定をいかなるレベルで行うか」 「いかなる活動がそれらの意思決定によって影響を受けるか」。 したがって、 「いかなる部門のマネジャーが、いかなる意思決定に参加し、相談を受け、あるいは意思決定の結果を知らなければならないか」。 この様な問いかけが、組織における仕事の位置づけを左右するとし、 次の四つの観点から分類する必要があるとする。 ◆影響する時間の長さ ◆他の部門や他の分野、あるいは組織全体に与える影響の度合い ◆考慮に入れるべき定性的要素の数 ◆問題の発生頻度 「いかなる部門のマネジャーが、いかなる意思決定に参加し、相談を受け、  あるいは意思決定の結果を知らなければならないか」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■家事活動のもたらす貢献■~組織に害を与えうる活動~

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組織設計で行うべき4つの分析。 NO2【貢献分析】 ◆家事活動 直接成果に貢献するものではなく、逆に組織に害を与えうる活動である。 なぜなら、法的な義務や勤労意欲、社会的責任に関わるものだからだ。 この活動に関わる問題は、組織全体の成果と関連を持たないところに生じ、 成果を生みもしなければ専門的でもないために、さえない仕事と見られる。 しかし、この活動もきちっと分類、分析しなければならない。 それは、果たすべき貢献の種類の違う活動は、それぞれ別個に扱わなければならないからである。 ドラッカーは、原則は一つとする。 同一の貢献を果たす活動は、技術的な専門分野にかかわらず、同一の部門にまとめ、 同一のマネジャーの下に置くこと であるとする。 この家事活動には、健康管理、清掃、食堂、年金や退職基金の管理、法定帳簿の管理などが入る。 「直接成果に貢献するものではない。  だが、組織に害を与えうる活動である。  それらの活動は、法的な義務、働く人たちの勤労意欲、  社会的責任に関わる活動だからである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■スタッフ活動に必要な資質■~依怙贔屓することのない者~

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組織設計で行うべき4つの分析。 NO2【貢献分析】 ◆支援活動 支援活動とは、自らは成果を生まないが、他の活動に対してインプットとなる活動である。 この支援活動には3種類がある。 その② スタッフ活動 助言活動と教育活動がこの活動に属するが、果たすべき貢献は、その活動自体が何をなし、 何をなしうるかではなく、他の活動に対していかなる貢献をなすかである。 このスタッフ活動は、極力小さくし、基本活動についてのみ設けなければならない。 そして、この活動にふさわしい人間はどういうタイプか? まず、他の人に手柄を立てさせようと手助けする心構えが必要である。 また自らは手を出さず、人が学びとるまで辛抱しなければならない。 さらに、権力に近いという自らの地位を利用して、 依怙贔屓(エコヒイキ)することのない者が必要である。 しかし、そのような資質を持つ者は少ないが、 これらの資質を持たないスタッフは害となるだけである。 ドラッカーは、スタッフ活動を長期の仕事にしてはならないとする。 長期にわたってこの仕事をさせると、そこから得られるものは堕落でしかなく、 仕事に精を出すことを軽く見るようになり、さらには、 正しさよりも頭のよさを大事にするようになるとする。 そして、その③として、法務部などの渉外活動がある。 「スタッフ活動を立派なものとするには、  他の人に手柄を立てさせることを欲する気質が必要である。  他の人がしようとしていることを、  よりよくできるよう手助けする心構えが必要である。  自らは手を出さず、人が学びとるまで待たなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■良識活動とは愉快な仕事ではない。■~理想を持って戦うこと~

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組織設計で行うべき4つの分析。 NO2【貢献分析】 ◆支援活動 支援活動とは、自らは成果を生まないが、他の活動に対してインプットとなる活動である。 この支援活動には3種類がある。 その① 良識活動   組織には、ビジョン、価値、基準、監査が必要である。   良識活動は、組織の目的と戦略をベースにして、これらの基準を設定し、   ビジョンを描く活動である。   これらの活動は、少人数で行うことが望ましい。   この活動の対象としては人事、マーケティング、環境に対する影響、   社会的責任に関わる問題、地域社会との関係、イノベーション等がある。 この良識活動とは、現在組織が行っていることを、さらに優れたものにするための 活動ではなく、現在組織が行うべきことで行われていないことを知るための活動である。    ドラッカーはこの良識という言葉について、 ”奇妙な感じを持つと同時に強いひびきを持つ。  だがこの言葉こそ、当を得た言葉である。” と洞察する。 良識活動とは、「あまり愉快な仕事ではない。 日々の現実に対し、理想を持って戦うことであり、 あるいは、安易なものを排し、人気のないものを擁護することである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■組織設計で行うべき貢献分析■~直接成果、成果貢献、情報活動~

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組織設計で行うべき4つの分析。 その2【貢献分析】 ◆成果活動:組織全体の成果に直接あるいは間接の関わりを持つ測定可能な成果を生む活動 成果活動には三つの活動がある。  ・直接成果活動:直接収入をもたらす活動     病院には病人を治療する活動、学校には生徒に対する学習活動、財務部門には資金調達活動などがある。   そして、組織の機能としてのマーケティングとイノベーションがある。  ・成果貢献活動:自らは収入を生まないが、企業全体の成果や主要な部門の成果に直接関わりを持つ活動   ドラッカーは、工場における製造活動がこの典型であるとする。   意外に感じるが本質的な定義である。   つまり、マーケティング活動に基づいた製造設計により製造活動を行い、   そこから生み出した製品を市場に送り出すマーケティング活動を支援する活動と定義しているのだ。   その他に求人活動、教育訓練、労務管理、物流もこれに属する。   これらは収入活動の支援活動で、自ら収入を生み出すことはない。  ・情報活動:組織内のあらゆる者が必要とするアウトプットを生み出す活動   調査研究、社内システム部門等のがあり、この活動の成果は、定義し、測定し、評価することができる。   しかし、この活動も自ら収入を生み出すことはない。 「自らは収入を生まないが、企業全体の成果や主要な部門の成果に直接関わりを持つ活動、  すなわち成果貢献活動である。  典型が製造である。求人活動とともに、教育訓練もこれに属する。  購買や輸送もこの活動である。エンジニアリングもこの活動である。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■貢献の種類による分類■~どの活動を一緒にするか、分離するか~

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組織設計で行うべき4つの分析。 その2【貢献分析】 「どの活動を一緒にするか、それとも分離するか」とのテーマに対していくつかの答えが出されてきた。 「工務と商務」、「ライン(現業)とスタッフ(非現業)」、「職能による分類」 ドラッカーは、この「職能による分類」は、職能を狭く定義しており、 重要なことは、組織内の活動を貢献の種類によって分類することであるとする。 ≪貢献の種類による四つの分類≫ ◆成果活動:組織全体の成果に直接あるいは間接の関わりを持つ測定可能な成果を生む活動。 ◆支援活動:要不可欠であるが、自らは成果を生むことなく、アウトプットが他の組織単位によって利用されて、初めて成果を生む活動。 ◆家事活動:成果に結びつかない付随的な活動 ◆トップ活動:類型化できない多元的なトップマネジメント層の活動 「職能による分類が、今日にいたるも、  およそあらゆる企業の典型的な組織構造の基礎となっている。  これらの分類それぞれに、それぞれの長所がある。  だが今日必要とされているものは、さらに深い分析である。  組織内の活動を貢献の種類によって分類することである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■目的と戦略からスタートする。■~組織が真に必要とする組織構造~

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組織設計で行うべき4つの分析。 その1 【活動分析】 活動分析とは、”組織の基本活動”を明らかにすることである。 ”組織の基本活動”とは何か? ドラッカーは、組織の重荷を担う部分であり、 ”組織の目標の達成と組織の戦略の成功に欠くことのできない活動” と定義する。 そして、自らの組織にとっての基本活動が何であるかを明らかにするためには、 次の三つの事柄を問う必要があるとする。 ◆まず、目的を達成するために必要となるきわめて強い分野はなにかを問う。 クラウド技術なのか、品質マネジメントなのか、教育制度なのか、、、、 ◆同時に、成果をあげられず致命的な損害を与え得る分野と、極めて大きい弱みを持つ分野はなにかを問う。 中国への店舗展開をどうするか、小学生向け学習塾事業はどうか、ファブレスはどうか、、、、 ◆最後に、本当に重要な価値は何かを問う。 品質を最優先するのか、低価格サービスを広く提供するのか、安全性を最大にするのか、、、、 これらの問いへの答えが組織の目標の達成と戦略の成功に欠くことのできない基本活動であり、 組織の基本単位となる。 そして、その他の活動は、仮に重要と見えても重要ではない。 目的と戦略からスタートした基本活動についての活動分析だけが、 組織が真に必要とする組織構造を教える。 そして、戦略を変えれば、基本活動を再分析し、その活動に対応する 組織構造の変更が不可欠となる。 逆にいえば、戦略の変更なしに”組織改革”は行ってはならない。 戦略に関わらず組織変更を行う必要があるのはそもそも組織構造がまちがっていた場合である。 「関心を向けるべきは、組織の目標の達成と組織の戦略の成功に  欠くことのできない活動に対してである。  この基本活動こそ、まず識別し、規定し、組織し、  中心に据えるべきものである。  目的と戦略からスタートした基本活動についての活動分析だけが、  組織が真に必要とする組織構造を教える。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

PMBOK®ガイド第5版

PMBOK®ガイド第5版が来月2013年1月第1週に提供開始になると発表されました。 概要は ■知識エリアに10番目のエリアとして「プロジェクトステークホルダー·マネジメント」が追加された。 ■計画プロセスに以下4プロセスが追加された。   ・計画·スコープ·マネジメント、計画スケジュール管理、計画原価管理、計画ステークホルダー·マネジメント ■プロジェクトのデータ情報と情報の流れを、より大きな一貫性をもたらすために再定義 とのことです。

■組織の重荷を担う部分■~答えるべき4つの問題~

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ドラッカーは、成果こそ組織の目標とした。 そして、さらに組織設計について、回答を出すべき4つの問題があるとする。 ◆何を組織の単位とするか ◆何を一緒にするか。何を分離するか。 ◆いかなる大きさと形にするか。 ◆いかなる位置づけを行い、いかなる関係を持たせるか。 そして、そのためには次の4つの分析を行う必要があるとする。 ・活動分析 ・貢献分析 ・決定分析 ・関係分析 「われわれは組織構造に組み込むべき活動の  すべてを知る必要はない。  知らなければならないのは、  組織の重荷を担う部分、  すなわち組織の基本活動である。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 32 組織の基本単位)     

■成果こそ組織の目標■~人のエネルギーを解き放つこと~

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ドラッカーは、組織の問題について、忘れるべきことがあるとする。 つまり、無意味な論争は早く忘れるべきだということ。 その3点目 ◆唯一絶対の組織構造が存在するとの考え 階層型、自由型、チーム型、擬似分権型、システム型等の組織形態が議論されてきたが いずれも普遍的な構造ではなく、重大な弱点を持ち、適用範囲も限られていた。 唯一絶対の解答があるに違いないとの考えは忘れなければならない。 では正しい組織形態とは何か? ドラッカーは、組織のなかの人間が成果をあげ貢献できるようにする組織構造は、すべて正しい答えであるとする。 組織の目的は全体のバランスをとることにあるのではなく、人の働きを最大限にすることである。 適正な組織であるかどうかは、成果を上げることができるどうかにあるのだ。 「人のエネルギーを解き放ち、それを動員することが組織の目的であって、  均整や調和が目的ではないからである。  成果こそ組織の目標であり、その良否の判定基準である。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 31 新しいニーズ)     

■階層がなければ組織全体が滅びる。■~単なる議論の場~

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ドラッカーは、組織の問題について、忘れるべきことがあるとする。 つまり、無意味な論争は早く忘れるべきだということ。 その2点目 ◆階層型であるべきか自由型であるべきかの議論 階層型組織が厳格な組織を意味し、自由型組織が自由な組織を意味するという考え方は間違いである。  ◇階層型組織:  それぞれ、自分の裁量で職務を遂行する自由があり、割当てられた職務を遂行する限り、それ以上の責任は課せられない。  厳格な責任論は存在しない。  ◇自由型組織:  特定の課題のための組織、特に小規模グループのことで、チームのメンバーに対して厳しく自己規律を要求する。  それは、全員がチームの仕事を行い、全員がチーム全体の生み出すべき成果に責任を持たなければならない。  組織の一員としての責任が問われる。 以上のように本質を理解しない組織形式での議論は間違いの原因となる。 ドラッカーは、階層型組織は個人に責任を課さない形態であるが、それでも階層はあらゆる組織に必要であるとする。 階層がなく、意思決定者がいない組織は、議論自体が目的になり、正しい結論を出すことはできなくなる。 これでは、組織全体の破滅につながる。 そのためドラッカーは、明確な命令権を持つ意思決定者が、一人存在しなければならないとする。 「階層はあらゆる組織に必要である。 最終決定を下すことのできる者がいなければならない。 さもなければ、組織は単なる議論の場と化す。 いかなる組織も全体の危機に見舞われる。 そのとき明確な命令権が一人の人間に与えられていなければ、 組織全体が滅びる。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 31 新しいニーズ)     

■忘れるべき無意味な論争■~課題中心か、人間中心か~

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ドラッカーは、組織の問題について、認識すべきことを指摘した。 そして、同時に忘れるべきことがあるとする。 つまり、無意味な論争は早く忘れるべきだということ。 ドラッカーは、3点を指摘する。 その1点目 ◆組織構造を課題中心に設計すべきか、人間中心に設計すべきか。 組織の構造や一つひとつの職務の設計は、課題に焦点を当てて 行う必要がある。 そして、一人ひとりが実際に行う仕事の割当ては、 その仕事を行う人とその状況に合わせて行う必要がある。 「組織構造や個々の職務の設計は  課題中心に行わなければならない。  実際の仕事の割り当ては人と状況に  合わせて行わなければならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 31 新しいニーズ)     

■構造は戦略に従う。■~組織は目的達成の手段~

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ドラッカーは、組織構造について、認識すべきことを指摘する。 その3点目 ◆構造は戦略に従う。組織構造は組織が目的を達成するための手段である。 組織は、独自の強みや弱みを持ち、さらに歴史や社風などの それぞれの個性や事情もある。 にもかかわらず、理想モデルや万能モデルを生きた組織に 機械的に当てはめるところから間違いは生じる。 全ての組織に適合する万能薬的なモデルはない。 では、なにが組織構造を決めるのか? 組織構造を決めるのは、戦略である。 そして、その戦略が基本活動を決める。 ドラッカーは、戦略を正しく実行できる組織構造が、 成果をあげる構造にほかならないとする。 「われわれの事業は何か、何になるか、何であるべきか」 への答が、組織構造を決めるのだ。 「戦略が組織の基本活動を決める。 優れた組織構造とは、それらの基本活動が 成果をあげる構造にほかならない。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 31 新しいニーズ)     

■貢献をベースにした活動単位■~組織構造の設計は最後に~

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ドラッカーは、組織の問題について認識すべきことを指摘する。 その2点目 ◆組織構造の設計は最後に手をつける。 では、最初に手をつけるべき”組織の基本単位”とはなにか? 基本単位とは、企業の活動を貢献の種類で分析し、 統合したり切り離したりして活動を類型化し、 その中から同一の貢献を果たす活動をまとめたものである。 この”貢献分析”を行う際には、次の4つの分類基準がある。  ●成果活動  ・直接成果活動:マーケティング、イノベーション等の事業活動  ・成果貢献活動:R&D、調達、製造、物流等の成果活動を間接的に支援する活動  ・情報活動:CRM、人事、総務、広報、会計等の直接成果活動に必要とされる情報を生み出す活動  ●インプット活動  ・良識活動:組織成熟、ミッション・ビジョン浸透等の組織の卓越性を追求する活動  ・助言活動:他の貢献活動を支援するスタッフ活動  ・関係活動:IR、コンプライアンス、法務等の活動  ●家事活動:成果に結びつかない活動  ●トップ活動:類型化できない多元的なトップマネジメント層の活動 「組織構造の設計は最初に手をつけるべきものではなく、  最後に手をつけるべきものである。  最初に手をつけるべきは、組織の基本単位を  明らかにすることである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 31 新しいニーズ)     

■組織構造の進化とは■~まちがった成果だけを生み出す~

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本日から「第7章 マネジメントの組織」に入る。 ドラッカーは、組織構造こそ、成果をあげるための前提であるとする。 そして、組織の問題について認識すべきことを次のとおり指摘する。 その1点目 ◆組織構造はおのずから進化していくものではない。 昨日の資源を使って、今日の活動を行うという、日々の業務の中では 組織構造は自然に進化しない。 なぜなら、今日の活動や組織自体がその存在を目的化し継続する 方向性を持つこととなる。 そこに生まれる変化は、”混乱、摩擦、まちがった成果”だけを 生み出すこととなるのだ。 「組織構造はおのずから進化していくものではない  ということである。  組織のなかでおのずから進化していくものは、  混乱、摩擦、まちがった成果だけである。」 ~P.F.ドラッカー「マネジメント」 (第7章 マネジメントの組織 31 新しいニーズ)