■不満足な組織構造■~成果は、組織内部の意思決定による。~






5つの組織形態その4、
擬似分権組織

ドラッカーは、事業単位で組織を組み立てることができるならば、
分権組織にまさる組織構造はないとした。
しかし事業ごとに分割することが不可能であったり、
職能別やチーム型とするには大きすぎる組織は、
擬似分権組織を採用すべきであるとする。

擬似分権組織は、本来分割できない事業を分権化するもので、
可能なかぎり自治権を与え、独自のマネジメントを持たせ、
分割した範囲に関する損益について責任を持たせるべきとする。

そして、この組織形態の問題点は、この本来分割できないものを擬似的に分割することに起因する。
成果は、事業全体で生み出されるものなので、それを分割するということで、一人ひとりが成果に焦点を合わせることが困難となる。
そして、組織のなかの人間一人ひとりが、自らの仕事と組織全体の仕事を理解することも困難となる。

さらに、市場では事業全体として成果を評価するので、この擬似的に分割された事業では、成果が正当に評価されない。
そして、成果は、組織内部の意思決定によって左右されることとなる。

ドラッカーは、擬似分権組織は、経済性、コミュニケーション、意思決定についても、好ましくない組織構造であるとする。

「擬似分権組織において分権化される組織単位は、

 本当の意味での事業ではなく、

 その成果も、市場での成績によって評価できるものではない。

 成果は、市場によってではなく、

 組織内部の意思決定によって左右される。」


~P.F.ドラッカー「マネジメント」

(第7章 マネジメントの組織 34 五つの組織構造)



   

コメント

このブログの人気の投稿

■報復の天使のように■~力があるはずの分野~

■ゾフィー先生のまわりに輪■~生徒自身への関心~

■ハーケンクロイツを外した■~帽子をとっての一礼~