■大工の言葉を使え■~知覚しなければ音はしない~
ドラッカーは、コミュニケーションの持つ4っつの原則を理解すべきとした。
【知覚である】【期待である】【要求である】【情報ではない】
まず、コミュニケーションは”知覚である”。
知覚は、人それぞれ異なる。
例えば10階建てマンションの最上階の住人は、真上からしか見ないので電信柱は”円”と知覚し、
2階に住む人はそれを長方形と知覚する。
また、ペットを飼っている家庭の子供にとって、ペットは可愛いもの、そして飼っていない家庭の
子供にとってみると、恐怖の対象となる。
このようにあらゆる事物には複数の側面があり、相手がどの側面を見ているか、そしてその側面を
見る理由を知らなければコミュニケーションは成立しない。
コミュニケーションは相手が知覚しているものをベースにして成立する、つまり受け手が
コミュニケーションを成立させる。
無人の山中で木が倒れたとき、音はしない。
音波は発生する。だが音を感じる者がいなければ、音はしない。そこには意味のない音波しかない。
音波は知覚されることによって音となる。
ドラッカーは、ここにいう音こそ、コミュニケーションであるとする。
『ソクラテスは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」と説いた。
コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しない。
受け手の経験に基づいた言葉を使わなければならない。
言葉で説明しても通じない。
経験にない言葉で話しかけても理解されない。』
~P.F.ドラッカー「マネジメント」
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