■プロフェッショナルの倫理■~個人、家庭、学校の道徳観に関わる問題~





引き続きドラッカーは、プロフェッショナルの倫理について指摘する。

まづ、企業倫理や企業人の倫理については、企業倫理以前の問題が
二つあるとする。

ひとつは、まったく単純な日常の正直さについてで、
二つ目は、人間としての美意識の問題だ。

詐欺、窃盗、増収賄、ごまかし、嘘などは現実世界で頻繁に目にするし、
程度によっては身の回りでも起こっている。
しかしこれは、企業人だからやってはならないことではない。
人間としてやってはならないことなのだ。

また、たとえ企業や政府などの重職や、教授医師、宗教家といえども、
その職務や仕事によって、これらの人間行動の一般的なルールから
除外されることはない。
かれらは職務に任命されることによって、人間でなくなるわけではないのだ。

世の中に、ごまかしたり、盗んだり嘘をついたり、贈賄したり収賄したりする
人間というものは、常に存在する。

ドラッカーはこれは、ビジネスの倫理というものではなく、個人、家庭、学校の
道徳観に関わる問題であるとする。

必要なことは、企業の重役であれ誰であれ、誘惑に負けたものを厳しく罰すること
だけである。


「われわれは、企業人たるものはごまかしたり、盗んだり、嘘をついたり、

 贈賄したり、収賄したりしてはならないと厳かに言われる。

 しかしこれは、企業人のみならず、誰もがしてはならないことである。

 いかなる人間といえども、その職務や仕事によって、

 人間行動の一般的なルールの適用を免れることはできない。」


~P.F.ドラッカー「マネジメント」

(第4章 社会的責任 19 プロフェッショナルの倫理~知りながら害をなすな)





   

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