■偽りの正確さの危険■~幅をもった情報こそ重要~
人の組織の管理手段には、七つの要件がある。
その4点目
◆精度適合性
測定を行う際の精度は、その対象に適していなければならないということ。
ドラッカーは、正確な測定が困難であり、
幅をもってしか評価できないという情報こそ重要であるとする。
例えば、新宿駅の1日平均利用者数は日本最大の73万4154人。
精緻な数字で、目を奪われてしまう。
しかし、この数値が何を意味するかを考えなければならない。
日本一ということより、駅周辺立地の企業環境や
新宿駅を基点としたベットタウンの開発状況等の変化や、
東京駅や、羽田空港利用者との変化差などに
目が向かなければならない。
また日本の人口は1億2618万0135人(2011年)、
前年比187万7217人、1.4%減
数値の細かさに目が向いてしまう。
そして、1%しか減少していないと捉えてしまう。
しかし考えるべきことは、日本人の人口は減少ゾーンに突入したことや、
外国人人口が増加したこと、男より女が多いとか、
団塊世代が65歳を迎えたこと、、、。
全体としての傾向やざっくりとした幅、大枠を捉えることだ。
ドラッカーは、一見根拠があるかのごとき細かな数字こそ不正確であるということ。
「正確な測定が困難であり、
幅をもってしか評価できないという情報こそ重要である。
市場シェア26%という数字は、正確であるかのような響きを持つ。
だがそのような言い方は、まったく不正確であって何の意味もない。」
~P.F.ドラッカー「マネジメント」
(6章 マネジメントの技能 29 管理)
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