■コミュニケーションは期待■~見もしなければ聞きもしない。~




コミュニケーションの持つ4つの原則。

その2
◆コミュニケーションは期待である。

ドラッカーはまず、”コミュニケーションは知覚である。”とした
そして、人は期待しているものだけを知覚するものとする。
期待しているものをだけを見て、期待しているものだけを聞くのだ

そして、期待していないものは受け付けず、無視し、まちがって見、まちがって聞き、さらに自分が期待していたものと同じと思いこむ。

”人の心は、期待していないものを知覚することに対して抵抗し、
期待するものを知覚できないことに対しても抵抗する。”

入社10年、そろそろ管理職昇進を期待するA君。
そんな矢先人事部長から呼び出しがあり、部長室に行った。

A君が“期待しているもの”は昇進である。
しかし部長からは、職位は現状のままでの地方営業所への一方的な転勤命令であった。
A君が”期待していないもの”であった。

A君は自己の能力が劣っており、会社の中で評価に値しない存在ではないかと考える。
当然モチベーションはどん底に落ちる。
これでは、部長のコミュニケーションの失敗である。

転勤がテーマであるにも拘らず、A君は昇進の話であると、まちがって期待することとなった。
部長はA君が昇進の時期でありそのことを期待していることを知っていた。

部長は、A君の期待を裏切る転勤の話をする前に、A君の昇進を含めたキャリアパスを話題にすべきであった。

期待に反しているかもしれないことをまちがいなく伝えることにより、ショックを和らげる必要があったのだ。


「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。

 期待するものを知って、初めてその期待を利用することができる。」

(6章 マネジメントの技能 28 コミュニケーション)




   

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