■何を測定するのか■~”蟻の穴”となる苦情~





ドラッカーは、人の組織の管理を行うための管理手段には、
満たすべき七つの要件があるとする。

その3点目
◆測定適合性
管理手段は測定の対象に適していなければならないということ。

組織管理は、組織の成果はおろか、その存続にまで関わる重要な活動であるが、
何を管理するか、何を測定するかは大変重要である。

毎月1000人当たり5件という数字で報告されてくる社員からの苦情は表面的には有効だ。
しかし 、社内の他の部門からは一つの苦情も出ていないことがある。
社内の小さな部門から集中的に苦情が出ている状態だ。

小さな一つの部門からの苦情なので、放置してしまうかもしれない。
しかし問題は、この苦情がどんな部門から発生しているかにある。

その部門が、会社全体のボトルネックとなる役割を果たしている場合に、
その苦情を無視すると”蟻の穴”となり、会社自体がつぶれることさえありうる。

全社的な苦情件数を測定するということではなく、どこで、どんな理由で、
どんな問題が潜んでいるかを測定する必要があるのだ。



「ごくわずかの小さな部門から集中的に苦情が出ている。

 もしその部門が、工場の全製品が必ず通らなければならない最終組立部門であって、

 しかもそれらの苦情を無視するならば、ストライキが起こりかねないとする。

 そのようなときには、企業そのものがつぶれることさえありうる。」


~P.F.ドラッカー「マネジメント」

(6章 マネジメントの技能 29 管理)






   

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