■誰も聞かなければ、音はない■~無人の山中で木が倒れたとき~
コミュニケーションの持つ4つの原則。
その1
◆知覚である(1)
ドラッカーはまず、”コミュニケーションは知覚である。”とする。
知覚は、人それぞれ異なる。
例えば10階建てマンションの最上階の住人は、真上からしか見ないので電信柱は
”円”と知覚し、2階に住む人はそれを長方形と知覚する。
また、蛇をペットとして飼っている家庭の子供にとって、
蛇は可愛いものだが、飼っていない家庭の子供にとってみると、
蛇は恐怖の対象かもしれない。
このようにあらゆる事物には複数の側面があり、相手がどの側面を見ているか、
そしてその側面を見る理由を知らなければコミュニケーションは成立しない。
コミュニケーションは相手が知覚しているものをベースにして成立する、
つまり受け手がコミュニケーションを成立させる。
「無人の山中で木が倒れたとき、音はするか」との問いの答えは、
「否」である。
音波は発生するが音はしない。
音波は知覚されることによって音となる。
音を感じる者がいなければ、音はしない。
そこには意味のない音波しかない。
ドラッカーは、この”音”こそ、コミュニケーションであるとする。
「音波は発生する。
だが音を感じる者がいなければ、音はしない。
音波は知覚されることによって音となる。
ここにいう音こそ、コミュニケーションである。」
(6章 マネジメントの技能 28 コミュニケーション)
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